「私には嘘をつくしかない」
この意味を知るために、日記を読んでみた
「4月〇日
今日から私たちは2年生になる。
私はA組だった。
ヨナと一緒で良かった。」
「5月〇日
だんだんクラスに慣れてきた。
隣の席のヨンウォン君と仲良くなれた。
ヨナとBTSのライブに行く約束をした。」
「6月〇日
今日は部活でBTSの『DNA』を踊った!
みんな上手で、とっても楽しそうだった。」
いつの間にか勝手に踊っていた。
まるで、”覚えていた”みたいに。
楽しい。
そう思った。
そう言って日記の続きを読むことにした。
「7月〇日
もうすぐ3年生が引退する。
この時期のせいかみんなピリピリしている。
頑張って練習して、キャプテンになりたいな」
「7月〇日
ついに明日は3年生が引退する日。
そして、新チームキャプテンの発表の日。
3年生と最後まで楽しく踊れるといいな。
キャプテンになれるといいな。」
「7月〇日
今日、3年生の先輩方が引退した。
新チームのキャプテンは私になった!
名前を呼ばれた瞬間、みんなが笑顔で拍手してくれて、とても嬉しかった。
これからみんなを引っ張っていけるよう頑張ろうと思う。」
「8月〇日
今日から大会に向けて本格的に練習を始めた
1年生は少しテンポが早くなる人が多いから
これから直していけるように頑張ろう。
ちなみに、課題曲は『MIC DROP』。
BTSの曲だからいつもより頑張れる気がする」
「8月〇日
今日はヨナと新大久保に行った。
ポスターやグッズをたくさん買えて満足。
ヨナとの思い出がまた1つ増えた。」
「9月〇日
今日から新学期。
最近、部活で喧嘩することが多くてすこし悲しい。
私がもっとしっかりしないと。」
「9月〇日
今日、隣の席だったヨンウォン君に告白された。
でも、私の答えは『ごめんなさい』。
これからも友達として仲良くできるといいな」
私が告白を断った理由はすぐに分かった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!