第6話

5不完全な僕らのメロディ
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2026/02/27 14:00 更新
『シェアハウスのリビング』

他のメンバーが仕事へ出かけ、らんとしているまの
二人だけが残っている
奏桃
……よし、みんな行ったな。
奏紫
……なぁ。結局、昨日のこと、あいつらに話さなくてよかったのか?
奏桃
お前がまだ心の準備できてねーだろ?
無理に言わなくていいよ。
奏紫
……。
いるまはリビングの窓から外を眺める。
空は澄み渡っているが、 心の中にはまだ少しだけ、
昨夜の「弱音」に対する不安が残っている
奏紫
……俺さ、怖かったんだ。
奏桃
……何が?
奏紫
弱音を吐いたら、
もう2度と、強い自分に戻れない気がして。
奏桃
……。
奏紫
でも、昨日の夜……らんに全部暴かれて、泣いて……。
……そしたら、不思議と身体が軽いんだよ。
奏桃
それは、お前が一人で背負ってた「完璧」っていう荷物を、
一旦降ろしたからだろ。
らんはキッチンで手際よくコーヒーを淹れ、
いるまの前に置く
奏桃
完璧な人間なんて、
シクフォニにはいらねーよ。
奏紫
……え。
奏桃
凸凹(でこぼこ)で、
欠けてて、必死に足掻いてる。
……そんな俺たちが集まって、
一つの形を作ってるんだろ。
奏桃
お前が欠けたなら、
俺が埋める。俺が欠けたら、
お前が埋める。
……それがグループだろ?
奏紫
……。
いるまは、
コーヒーから立ち上る湯気をじっと見つめる。
そして、ゆっくりと一口飲んだ
奏紫
……苦。……でも、美味いわ。
奏桃
だろ?(笑)
奏紫
……らん。
奏桃
ん。
奏紫
……俺、もう一度、
全力で歌いたい。
奏紫
アンチの声じゃなくて、
俺を待ってる奴らの声だけ聴いて……。
……一番隣にいるお前に、
最高のラップを届けたい。
いるまの瞳には、
昨日までの迷いはなく、
確かな熱が宿っていた
奏桃
……あぁ。その意気だ。
奏桃
……あ、でも。
また一人で抱え込んで、
パンクしそうになったら……。
奏紫
……わかってるよ。
奏紫
その時はまた……お前に、
暴いてもらうから。
二人は顔を見合わせて、
今度は偽りではない、
本当の笑顔で笑い合った

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