帰り道
辺りは真っ暗
お母さんに遅くなる連絡は入れておいたおいたとはいえ
あんなこと言ってたから心配してるだろうな〜
出会わないだろうと思っていてもやっぱ怖い
なんかじょーいろうしってのがいてその人たちは
刀を持ってるらしいし
変なとこ見かけて出くわして切り殺されたらどうしよう
え。それって不審者に会うより怖くない?
それならいっそのこと不審者に会った方が良くない?
いやいやいや1番いいのは無事に家に帰ることでしょ!
何言ってんだ私は………
恐怖と焦りで訳分からんこと考えちゃう…
よし!もう何も考えずに帰ろ!早く帰ろ!
にしても暗いな。明かりを持ってるとはいえ暗い。
どっかのホラーゲームじゃないんだからもう少し明るして欲しいもんだ
…………。
…………………。
もし……
もしだよ?
もし不審者にばったり会っちゃって
そこにかっこいい誰かが私を助けてくれて知り合っちゃったり〜
みたいな美味しい展開あったらウマウマすぎない?
えへへ……そんなことあったらいいな〜
ってダメか。あるわけないよバカじゃんアホくさ。
そんなんある訳………
知らない男の人が私の前に立っている
ん?
あ。私か。
どうしたんだろう。この人道に迷っちゃったのかな?
あら。そうなんだ。
え?じゃあどうしたんだろ。
そう言って男は腰にある刀を抜いて刃を舐める
え。待って………これって。
だってだって……ねぇ?
男はそう言った後に刀を私目掛けて振り下ろす
あ。これ終わった。
お母さんごめんなさい。私…私……
って……死ねるかァァァァ……
私は後ろに下がって男の刀が当たるギリギリで避けた
こここここれでもけけけ剣道やってたんだからら
この男。とんだサイコパス野郎だ
多分避けれたのまぐれだし
もう避けれない
てか怖くて膝が大爆笑してるから思うように動かせないし
男がまた刀を振る
ピュッ____
上手く避けれなかったらしい
腕に痛みが走る
咄嗟に腕を抑える
抑えた手には血がついている
マジか。え。マジか。血だ。。。。
いやいやいや、一瞬でも痛いんじゃん
私は普通の生活を送りたかったのに。
普通の生活の中で好きな人見つけて素敵な恋がしたかっただけなのに。
なんで。なんでこうなるんだろう。
男が刀を振り下ろす
待ってこれは待って避けられるわけない
今度こそほんとに終わっ………
キーン___
甲高い金属音
と同時に聞こえた痛みを感じた声
聞き慣れない声
目に映る黒い隊服
床に滲む血
ジンジンと痛む腕
あ。私生きてる。死んでない。
この服……どっかで………
あ。真選組だ。
この江戸を守ってるお巡りさんだ。
色々起こりすぎて何がなんだか分からなくなって
ボーッとしてる間に警察の人がハンカチで応急手当をしてくれた
優しそうに微笑んでる警察の人の後ろで
男が痛そうに腕を抑えて唸っている
あ。もう大丈夫なんだ。
一気に力が抜けてその場に崩れるように座り込む
同時に涙が溢れてきた
警察の人が背中をさすってくれた
余計に涙が止まらなくなってしまった
その後
他の警察の人たちが集まってきて男を連行した
事件はひと段落ついた
どうやら私以外の子たちも攫われたあと
殺され男のコレクションにされていたという
男曰く血に染る女の子たちを見るのが堪らなく好きだった
というかなり頭のやばいサイコパスだったらしい。
世の中にはヤバいやつもいるもんだ。
ほんと夜道には気をつけないと。
ん?てかあれ?
私が想像してたこと………現実になってない?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!