そんな声が聞こえた。
私は声がした方へ向き、瞬時に構える。
そこには謎の男が十二人の手下と共に歩いてきていた。
あれ、十二人の手下連れてる人って………。
私は構えを解かずに言った。
そーいうのが一番信じられないんだよね。
対抗策ってのは何か知らないけどさ。
え、どういう事?
私が『天国』への対抗策となり得るとは……?
いや、別に知ってるんだけどさ。
敵の大将が敵である筈の私に干渉してくるとは……‥如何なものかと。
まぁ、大丈夫だからこそ干渉して来てるんだろうけどさ。
え、ちょ、え?
それは私に寝返れと言ってるのか、もしくは人質とかそういう系か。
エルミナを止めれる………。
私は若干顔を顰めながらそう言った。
そう、そこが問題なのだ。
私なんかよりもカイ兄やリィーシェの能力の方がよっぽど強い。
対抗策であれば強い能力の方が余程対抗策なり得るというのに。
嗚呼………成程、納得した。
流石に拒否したら戦闘になる、とかは無いよね?
この人はレミィ姉みたいに『運命』の事を把握してるとでも言うの?
幾ら神様とはいえ概念は守ろうよ………。
そりゃカイ兄のあの能力は規格外でしょうに。
ただあれはおいそれと使って良いものでは無いからね。
今回ばかりは仕方無い。
直後、十二神官の数名が私の手足を縛って、担ぎ上げた。
せめて自分で歩かせて欲しいものである。
そもそも逃げ切れる気がしないからね。
いっその事魔法とかで眠らせてくれた方が楽なのに。
洞窟の中には灯りが灯っていた。
てかこんな所があったんだ………。
それに出張拠点って事はちゃんとした拠点が何処かにあるって事だよね。
実験、とかじゃ無いよね?
また牢ですか。
私を担いでいた十二神官の二人がそのまま私を奥の牢へと連れて行った。
あの時は、本当に苦しかったよ。
それこそ“死にたい”と強く願う程に。
片方の人が促す。
私は牢に入る。
鍵をかけられて、二人で監視される。
一応簡易空間の中に仕舞っといたけど取られて無いよね?
牢の中って暗いから兎に角怖いんだよね………。
こう、心臓がギュッと締め付けられる様な感覚を覚える。
でも今は兎に角眠い。
ここ最近まともに眠れて無かったから………暗いのは怖いけど眠いという方が強すぎて困る。
急に!?
私は苦笑しながらそう答える。
この人達意外と良い人………なのかな?
私は再びボーッとし始める。
兎に角、リィーシェ達と連絡取れれば良いんだけど………流石に無理だよね。
監視の二人は二人で会話をし始めていた。
ちゃんと休んでれば良いけど。
………………………………
どれ程時間が経ったか
ご飯は渡されるもののそこまでいい物では無く、見張りの十二神官さん達も順番に変わっていった。
私は無表情で自身の魔力で虚空に絵を描いていた。
休んだお陰で魔力は完全に回復したし、牢の中ではずっと手札について考えてたし。
兎に角恐怖が精神を蝕まない様に。
何かをしていないと恐怖が精神を蝕むから。
そう言った直後、牢が開く。
余りの暗さに体感時間がブレブレである。
一応聞いておこう。
暗いと体感時間ズレるんだなぁ。
いや、今回ばかりはズレてるって範疇じゃ無かったけど。
ちょ、理解が追いつかないです。
私は“はぁ”と溜息を吐きながらそう言った。
でも、何でだろ………誰かにすぐにバレそうな気がする。
私はまだ完全には回っていない頭を動かして、フラフラとした足取りで放浪邸へと向かうのだった。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。