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第1話

白い帽子1
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2020/06/23 10:02 更新
堀端で乗せたお客の紳士
堀端で乗せたお客の紳士
これは、レモンの匂いですか。
堀端で乗せたお客の紳士が話しかけました。
タクシー運転手の松井さん
タクシー運転手の松井さん
いいえ、夏みかんですよ。
信号が赤なので、ブレーキをかけてから、運転手の松井さんは、ニコニコして答えました。
今日は六月の始め。
夏が行きなり始まったような暑い日です。松井さんもお客も、白いワイシャツの袖を、腕までたくし上げて居ました。
堀端で乗せたお客の紳士
堀端で乗せたお客の紳士
ほう、夏みかんてのは、こんなに匂う物ですか。
タクシー運転手の松井さん
タクシー運転手の松井さん
もぎたてなのです。昨日、田舎のお袋が、速達で送ってくれました。匂いまで私に届けたかったのでしょう。
堀端で乗せたお客の紳士
堀端で乗せたお客の紳士
ほう、ほう。
タクシー運転手の松井さん
タクシー運転手の松井さん
余り嬉しかったので、一番大きいのを、この車に乗せて来たのですよ。
信号が青に変わると、沢山の車が一斉に走り出しました。その大通りを曲がって、細い裏通りに入った所で、紳士は降りて行きました。

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