第2話

白い帽子2
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2020/06/24 06:06 更新
アクセルを踏もうとした時、松井さんははっとしました。
タクシー運転手の松井さん
タクシー運転手の松井さん
おや、車道のあんなすぐそばに小さな帽子が落ちて居るぞ。風がもう1吹きすれば、車が引いてしまうわい。
緑が揺れて居る柳の下に、可愛い白い帽子が、チョコンと置いてあります。松井さんは車から出ました。
そして、帽子を摘み上げた途端、フワッと何かが飛び出しました。
タクシー運転手の松井さん
タクシー運転手の松井さん
あれっ。
紋白蝶です。慌てて帽子を振り回しました。そんな松井さんの目の前を蝶はヒラヒラ高く舞い上がると、並木の緑の向こうに見え無くなってしまいました。
タクシー運転手の松井さん
タクシー運転手の松井さん
ははぁ、わざわざここに置いたんだな。
刺繍糸で小さく縫い取りがしてあります。
「武山幼稚園 竹野 竹雄」
小さな帽子を掴んで、ため息を付いて居る松井さんの横を、太ったお巡りさんが、ジロジロ見ながら通り過ぎました。
タクシー運転手の松井さん
タクシー運転手の松井さん
せっかくの獲物が居なくなって居たら、この子は、どんなにガッカリするだろう。
ちょっとの間、肩をすぼめて突っ立って居た松井さんは、何を思い付いたのか、急いで車に戻りました。
運転席から取り出したのは、あの夏みかんです。

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