第3話

白い帽子3
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2020/06/24 06:21 更新
まるで、暖かい日の光をそのまま染め付けたような、見事な色でした。酸っぱい、良い匂いが、風で辺りに広がりました。
松井さんは、その夏みかんに白い帽子を被せると、飛ば無いように、石で唾を押さえました。
車に戻ると、オカッパの可愛い女の子が、チョコンと後ろのシートに座って居ます。
オカッパの可愛い女の子
オカッパの可愛い女の子
道に迷ったの。行っても行っても、四角い建物バカリだもん。
疲れたような声でした。
タクシー運転手の松井さん
タクシー運転手の松井さん
ええと、どちらまで。
オカッパの可愛い女の子
オカッパの可愛い女の子
え。ーええ、あの、あのね、菜の花横町ってあるかしら。
タクシー運転手の松井さん
タクシー運転手の松井さん
菜の花橋の事ですね。
エンジンを掻けた時、遠くから、元気そうな男の子の声が近づ居て来ました。
元気そうな男の子
元気そうな男の子
あの帽子の下さぁ。お母ちゃん、本当だよ。本当の蝶々が、居たんだもん。
水色の新しい虫取り網を抱えた男の子が、エプロンを着けたお母さんの手を、グイグイ引っ張って来ます。
元気そうな男の子
元気そうな男の子
僕が、あの帽子を開けるよ。だから、お母ちゃんは、この網で押さえてね。あれっ、石が乗せてあらぁ。

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