私も、正直こんなピリピリしているのは苦手だ。
しかも、小国が故に水面下で動き出していることを
察知しにくいことが、更に不安を加速させている。
私は遠い国だからヨーロッパの戦線の影響は
受けないだろうけど、経済面で打撃を受けそうで。
私も一応イギリス連邦の一国だが、
本来目の敵であるイタリア王国さんに対して
あまり敵という認識は持っていない。
だって、主様は主様…だし。
私と主様が…恋人?
いやいやいや、私と主様はあくまで主従関係。
雇い主と穢らわしい使用人…それだけのはず。
おかしい、あの時は確か正体を隠す為に
化粧で私の顔に刻まれているユニオンジャックを
消してもらっていたはずなのに。
この方は何をおっしゃっているのだろうか。
もしかして、表情や顔色で読み取れないだけで、
お酒を飲まれていたのだろうか。
そして何より、私は一応中立を掲げてはいるものの、
実情としては連合国側に近い立場を取っている。
当然、枢軸国の彼とはそんなことをするなんて、
夢のまた夢でしかない。
イタリア王国さんは分かりやすく気分が沈んでいたが、
すぐに何かを思考して、こう切り出した。
なぜ、こうも強国から変な感情を抱かれるのだろう。
まあ、もし主様という強力な後ろ盾を失った時、
頼れる国がいるという事実は心強いしね。
まだ付き合うと私が宣言してませんよ、
なんて言葉は興奮している彼に、
かけられるわけがなかった。
そう笑顔で語りかけてくる彼に対して、
一方的な愛で哀れだなぁ…
と考えてしまう私はやはりクズなんだなと再認識した。
それに、今この飲食店にいる理由も、
タダ飯を堪能することができるってことだったし。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。