壁へ蹴り飛ばされて動かなくなった柊さんを見下していたその目が、次は梅宮さんに向けられる。
すると隣に座っている桜君が、唐突に声を上げた。
そう返して桜君はいきなり席から立ち上がると、
声を上げて怒りながら、柊さんを指さした。
突然のことに目を丸めてポカンとしてしまう。
言うなり桜君はあろうことか、壇上に向かおうとした。
突拍子のない出来事の連続で、声は出るが体は驚きで動かない。
壇上に行くべきじゃないのは分かる…!!
そんな桜君の服を引っ張り、楡井君が必死に桜君を止めていた。
その様子に、蘇枋君が楽しそうに笑い声を上げる。
桜君に向かって、蘇枋君がにこやかにそう言った。
すると桜君の顔が瞬く間に赤くなる。
真っ赤になっている桜君を梅宮さんが宥めると、梅宮さんは壇上に目を向けた。
梅宮さんの顔には柊さんの心配なんて浮かんでない。
彼が煩わしそうに一言返した時だった。
その声に驚いて、慌てて壇上に目をやると、そこには何でもないように平然と立っている柊さんの姿があった。
あんなに凄い音で蹴られたのに…!!
安堵と驚きの半々でいると、柊さんは拳を振り上げ、そのまま振り下ろす。
獅子頭連の彼はそれに反応し、素早く避けた。
言いながら柊さんは胸ポケットから胃薬の箱を取り出す。
そしてプチッと一粒薬を取り出すと、それを自身の口へ放り込み、不敵な笑みを浮かべた。
そこから壇上では、先程よりも激しい攻防が続いた。
激しさに比例して、獅子頭連の声援も大きくなる。
そうしている内に、今まで静かだった彼がそう声を荒らげた。
彼は柊さんに向かって駆け出すと、パンチを躱して柊さんの後ろに回り、カウンターを繰り出す。
しかしその攻撃よりも早く、柊さんが蹴りを当てて彼を蹴り飛ばした。
ボロボロになりながら、獅子頭連の彼は何とか踏みとどまる。
そう言って再び柊さんに向かって拳を振り上げるが、柊さんは片手でその拳を受け止めた。
彼の表情が歪む。
柊さんはそんな彼の腹部に、強烈な一撃を入れた。
もろに食らったその攻撃に、彼は膝から崩れ落ちる。
そして気を失ってしまったのか、そのまま動かなくなった。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。