放課後の校舎は、昼間の喧騒が嘘みたいに静かだった。
夕日が差し込む廊下を、〇〇は一人で歩いていた。
目的地は、図書室。
週に一度の「図書委員」の仕事がある日だった。
扉を開けると、すでに一人、先客がいた。
背筋をまっすぐ伸ばし、丁寧に本を整理している男子生徒。
——宮舘涼太。
落ち着いた所作、低くて穏やかな声。
同級生なのに、どこか大人びていて、少し近寄りがたい存在だった。
名前を呼ばれるたびに、心臓が静かに跳ねる。
彼はいつも、誰に対しても丁寧で、礼儀正しい。
二人きりの図書室。
ページをめくる音と、時計の秒針の音だけが響く。
突然、宮舘くんが声をかけてきた。
本の話をする彼の表情は、少しだけ柔らかくて。
〇〇は、その横顔を思わず見つめてしまった。
短い会話なのに、不思議と心が近づく気がした。
それから、図書委員の日が楽しみになった。
言葉は多くないけれど、目が合うたびに微笑んでくれる。
本を渡す時、指先が少し触れるだけで、胸が熱くなる。
ある日、仕事が終わったあと。
窓の外は、オレンジ色の空に染まっていた。
宮舘くんが、いつもより少し真剣な声で呼ぶ。
その言葉は静かで、でも真っ直ぐだった。
〇〇は、ゆっくり頷いた。
その瞬間、彼の目が優しく細まる。
そして、そっと距離を縮めて言った。
夕焼けの図書室。
本棚に囲まれた静かな空間で、二人の恋は、ゆっくりと咲き始めた。
派手じゃなくていい。
言葉が少なくてもいい。
——この静かな想いこそが、確かな恋だった。
この作品を見てくださりありがとうございます!
新しい作品作ろうと思ってるので!お楽しみにしててください!














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。