どうやら、悟は交流会まで悠仁が生きていることを
公にするつもりはないらしい 。
交流会までに、呪術師として周りに潰されない程度に
生きていける力をつけておきたいのだそうだ 。
今のところ、悠仁が生きていることを知っているのは
私と硝子、それと伊地知くん 。
悟は多忙の為か、高専にいることがまず少ない 。
基本的な呪力操作については私に任された 。
昼間は恵や野薔薇達に授業をして、
夜は悠仁の所へと立ち寄って呪力操作や座学を教える 。
悠仁は身体的なことに関わる飲み込みは早いが、
座学はどうも苦手らしい 。
交流会後にすぐに授業へと合流できるように、
授業の進度は同程度にしておきたいのだけれど ...
その言葉に机から顔を上げると、私の表情を見た悠仁は
ぶつぶつと何か言いながらシャーペンを握った 。
こうしていると、あまりに普通の高校生だから
宿儺の器だということを忘れてしまいそうになる 。
その度に、この子が死刑の執行猶予中なのを思い出して
胸がじくじくと痛む心地がした 。
今日の進めなければいけないテキストのページ分を
何とか終わらせ、二人でソファへと座って映画を見始める 。
もちろん、悠仁の手元には学長お手製の呪骸が 。
まだまだ呪力に波があるようで、
時折殴られている 。
________ 映画も中盤に差し掛かった頃 。
突然、背後に悟が現れた 。
どうやら、蒼を使ったらしい 。
私の返答を待たずして再び何処かへと消える 。
悟のことだから、何かいい教材でも見つけたのだろう 。
私は思わず小さなため息を吐き、
悠仁が戻って来た時の為に流れていた映画を止めた 。
私には無縁なようで、存外近い話だ 。














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!