さっきまで砂浜にいたのに、気づいたらいつもの場所だ
東京まで1回戻らないといけないと考えていたから、珍しく気が利くと思った
約束…ちゃんと守ってくれるんだ
死神のくせに意外とホワイトな事に毎回驚かされる
彼は優しそうな顔をして頷く
私の事はいいんですと言い、いつもより一回り大きい球を差し出してきた
これで、私の願いを叶えられる事ができる
レトさん…兄ちゃんから始まった私の死神としての生活
辛い事ばかりだったけど、楽しい事や新たな幸せな記憶と出会う事ができた
なんやかんや幸せな一生だったのかもしれない
でも、私がこれで願ったらもう一周同じ運命を辿ることになる
つまりそれは、もう1回みんなが死ぬという事
…だから、次こそは全員に最期まで幸せな人生を送ってもらう
私の、願いは…
私という存在『香坂あなたのとある男の妹の名前』がいなければみんな死ぬ事もなかった
キヨが悲しくなる事だって無かったんだ
何回も考えて出したこの結論
もちろん後悔なんて1ミリも無い
さようなら、大好きだった世界
さようなら、大好きだった仲間
今日もいつもの日常が過ぎ去っていく
何も変わらない、平凡な毎日
とある人は今日も鼻声に悩まされて
とある人は今日も可愛いものに包まれて
とある人は今日も美味しいご飯を食べて
とある人は今日も子供たちに囲まれて
とある人は今日も親友がそばにいて
とある人は今日も奥さんと仲良く出かけたりして
とある男は今日も元気よく挨拶をする
何も欠ける事なく、日常は過ぎ去る
ただそれだけ
『ゲーム好きの死神さん』
Fin
















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!