第4話

バスローブ
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2022/02/25 00:57 更新
その勢いに驚く私に目もくれずに、彼はサッサとバスルームに入り、シャワーを浴び始めた。

彼が脱ぎ捨てたTシャツを拾うと、GUCCIと書いてある。きっと、ジャージとTシャツで総額10万円以上するに違いない。

そして、バスルームのドア前に無造作に落ちているトランクス。
男物の下着に慌てるトシでもないが、見ず知らずの男のパンツを洗うべきなのか。馬鹿みたいに悩みながらも拾ってしまい、洗濯機に放り込んだ。

それにしても、BTSのテヒョンが駅のコンビニで傘を買うわけがない。
あたしったら何を舞い上がってしまったのか。

とはいえ、悶々としながらもコーヒーを淹れていたら、バスルームから鼻歌にしては大きな歌声が聞こえてきた。
わたしの思いとは裏腹に、彼の方はのびのびとしているらしい。
しばらくしてシャワーを終えた彼がリビングに入ってきた。予想はしていたんだけど、腰タオル姿で。
謎の男
謎の男
あ〜、さっぱりした〜♪
恥ずかしくて直視できない私のことなどお構いなしだ。
(なまえ)
あなた
今、服を洗っているから、、ちょっと待ってて
それから、、これ着る?
ふと、バスローブがあることを思い出したのだけれど、もちろん女物だし、色はベビーピンクときてる。
嫌がるかと思いきや、ちょっと嬉しそうに受け取ると袖を通した。

その姿も笑い顔もテヒョンにそっくりで、思わず見惚れてしまった。

その視線をかんじたのか、いたずらっぽく笑うと
謎の男
謎の男
ねえ、名前おしえてください。
(なまえ)
あなた
え??
謎の男
謎の男
なんて呼んだらいいんですか?
(なまえ)
あなた
あなたの下の名前だけど、、、
謎の男
謎の男
じゃあ、、あなたの下の名前さん
シャワー、使わせてくれてありがとう。
(なまえ)
あなた
あのまま帰すわけにはいかないじゃない、、、
謎の男
謎の男
僕の名前はテヒョンです
(なまえ)
あなた
テ、テヒョンさん?
謎の男
謎の男
うん、テヒョン
やっぱり、あのテヒョンなの?
そんな疑問が頭のなかに渦巻くが言葉にはだせなかった。
そしてソファの真ん中にどかっと座って、端正な顔でうなずいている。女物の丈の短いピンクのバスローブ姿で。
思わず吹き出してしまった。
テヒョン
テヒョン
笑わないでよ、恥ずかしいな
(なまえ)
あなた
ごめんなさいww
テヒョンはちょっと拗ねた顔をして照れ笑いをしていた。かわいい。
(なまえ)
あなた
コーヒーいれたんだけど、ココアの方がいい?
テヒョン
テヒョン
うん、コーヒーはあんまり好きじゃないんだ。

私がキッチンに立つと、彼は玄関の方に歩いて行った。
え、バスローブ姿でどこにいくの?
慌てて追いかけると、玄関に転がっていた財布とスマホを拾っていた。
テヒョン
テヒョン
よかった、どこかに落としちゃったかと思いました
クシャっと笑う顔がまたかわいい。

彼の行動が気になって仕方ない自分に落ち着け!と言い聞かせて、キッチンに戻り、ココアを彼に渡した。
テヒョン
テヒョン
ココア大好きなんです
そう言うと、あっという間に飲み干してしまった。
テヒョン
テヒョン
お腹すいたなぁ、、、
(なまえ)
あなた
何か、、、食べる?
思わずそう言うと、テヒョンがニコニコしながら私の目を覗きこんできた。

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