その勢いに驚く私に目もくれずに、彼はサッサとバスルームに入り、シャワーを浴び始めた。
彼が脱ぎ捨てたTシャツを拾うと、GUCCIと書いてある。きっと、ジャージとTシャツで総額10万円以上するに違いない。
そして、バスルームのドア前に無造作に落ちているトランクス。
男物の下着に慌てるトシでもないが、見ず知らずの男のパンツを洗うべきなのか。馬鹿みたいに悩みながらも拾ってしまい、洗濯機に放り込んだ。
それにしても、BTSのテヒョンが駅のコンビニで傘を買うわけがない。
あたしったら何を舞い上がってしまったのか。
とはいえ、悶々としながらもコーヒーを淹れていたら、バスルームから鼻歌にしては大きな歌声が聞こえてきた。
わたしの思いとは裏腹に、彼の方はのびのびとしているらしい。
しばらくしてシャワーを終えた彼がリビングに入ってきた。予想はしていたんだけど、腰タオル姿で。
恥ずかしくて直視できない私のことなどお構いなしだ。
ふと、バスローブがあることを思い出したのだけれど、もちろん女物だし、色はベビーピンクときてる。
嫌がるかと思いきや、ちょっと嬉しそうに受け取ると袖を通した。
その姿も笑い顔もテヒョンにそっくりで、思わず見惚れてしまった。
その視線をかんじたのか、いたずらっぽく笑うと
やっぱり、あのテヒョンなの?
そんな疑問が頭のなかに渦巻くが言葉にはだせなかった。
そしてソファの真ん中にどかっと座って、端正な顔でうなずいている。女物の丈の短いピンクのバスローブ姿で。
思わず吹き出してしまった。
テヒョンはちょっと拗ねた顔をして照れ笑いをしていた。かわいい。
私がキッチンに立つと、彼は玄関の方に歩いて行った。
え、バスローブ姿でどこにいくの?
慌てて追いかけると、玄関に転がっていた財布とスマホを拾っていた。
クシャっと笑う顔がまたかわいい。
彼の行動が気になって仕方ない自分に落ち着け!と言い聞かせて、キッチンに戻り、ココアを彼に渡した。
そう言うと、あっという間に飲み干してしまった。
思わずそう言うと、テヒョンがニコニコしながら私の目を覗きこんできた。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。