⚠ / オチ無し。没。嘔吐、不穏表現
『 最近顔色いいじゃん ! 』
これは僕にとって皮肉でしかない呪いの言葉。きっと皆善意100%で言っている。だって皆嬉しそうにそう云うのだから。嗚呼、甲斐田はずっとコレを求めていたのか。そう思いたいのに思えない。求めていた行き場とは全く異なるこの場所が妙に明るい。皆が求めていた健康がこんなにも美しく、目が焼ける程に眩しいだなんて。
甲「 ぅ"あ、ッ……は、ッ 」
甲「 ……、はぁ。 」
口内に指を突っ込む。何度も何度も何十回も続けたこの行為になんの意味があるのだろう。トイレの湖面と見詰め合う時間は正に無駄な時間。己の存在意義を奪うのみで、焦燥感すら与えてくれない。ただひたすらに、何度繰り返したらこの人生は終わるのだろうかと考えさせられるだけ。とっく壊れていると信じていたい己の胃は、今日も当たり前のように食物を消化して胃酸を作り出している。人間の身体のしぶとさには毎度ため息が溢れでる。
甲「 ただいま〜。 」
剣「 お、甲斐田くんおかえり。 」
不「 …お前泣いてね??どしたん。 」
甲「 ぇ"…ッ、 」
嗚呼、また間違えた 。今日は吐けなかった。涙だけがトイレの水面へとぽつりぽつりと小さく音もなく零れ落ちた。数週間前からずっと、今までやってきた嘔吐の習慣がなくなって 頭は冴えている。吐こうとしても、溢れ出るのは吐瀉物以外の全身の水分。涙、涎、尿意、鼻水。ありとあらゆるところから水分が流れ出てくるのに、求めている嘔吐物だけはでてきてくれない。1番欲しているものだけ、こない。頭が澄んでいる。澄みすぎて逆に煩い。頭のだるけがなくなって、ただひたすらに焦燥感に揉まれた。だるさを紛らわす名目でしていた脳の思考が放棄される。ぽわぽわと全身の力を抜かすことしかできない。きっとこれは予兆。健康に向かっているんだ。イイコトなんだろう。それでも、ダメだった頃の後遺症達は消え失せるどころか増してゆく。吐かなければ吐かないほどに脳が嘔吐で支配されてゆく。
ぼーっとしてしまった。急いで我に返れば、不破さんが僕の顔を覗き込んでいる。っわぁ!?と思わず大声をあげれば「なんやお前、うるせえなあ!」と軽く頭を叩かれた。ひどぉ〜い…といつものように茶番を始める。はは、と苦笑を漏らしながら。
不「 で、どしたん?なんか嫌なことあった? 」
甲「 え、いやー…なんもないすけど。 」
不「 アホか。なんもないのに泣くやつ居らんやろ。 」
前までは干渉されても心の内で巻くこの嫌悪をやる気に変えられた。今の僕は…修理されても尚使えない壊れきった玩具のようだ。昔の壊れた玩具のほうが、まだ治るかもしれないという希望があった。身体が重たい。ダルさこそ消えたものの、今まで全てを流していたその食物が身体を通って、消化する。何か食べれば毎回吐き気で気持ち悪いのに、吐けずに結局肉へと変わってゆく。これがどんなに苦しいものかわかる人は中々居ないだろう。いや、居て欲しくないな。実際はそこまで変わっていないであろう肉付きが、5kg、10kgと太って鉛になったような気がした。
甲「 そう言われてもなぁ…なんもないんすよ、 」
不「 ふーん… まぁ別になんでもいいけどね。 」
剣「 よくもないだろ 笑 まぁね、疲れてるなら
ちゃんと休んでくださいよ 。 」
社「 甲斐田さんは無理するからな。
ちゃんと限界を迎える前に休んでください。 」
甲「 えぇ… まぁ、わかったよ。 」
皆の心配が突き刺さる。心配されることじゃない。だって僕のやっていることは食物を無駄にしている。食べたものを直ぐに嘔吐して、何がしたいのかもわからない。過食嘔吐でも拒食でもない。でもきっと摂食障害の一部に入り込んでいるんだろうなぁと嘲笑した。食べれないってほどではないが、何かを食べた時、体調が悪い時、嫌なことがあった時。履かないとやっていけないのだ。最近は……嘔吐がやけに怖い。ずっと、トイレに向かうのすら怖気付いている。いざ向かっても、指を半端にしかいれれなくて、嗚咽が漏れるだけで胃酸は出てこない。食べ放題や飲み会に居る時でしか嘔吐が出来ない。1番吐くべきではないときにだけ出せる自分の体内が憎くて仕方なかった。もう溢れることのない涙を拭き取る。皆に心配を掛けたことが申し訳なくて、胃のあたりがキリキリと小さく渦巻いている。これはきっと吐き気。でも、吐けない時の吐き気。喉元まででかかって、やめてしまう。恐怖から吐ききれない。吐こうとすると、心臓が締め付けられるように痛くなるから。こうなるといつも、脳が思考を辞めてしまう。そんなの許さないぞと言うように唾を飲み込みたいのに、飲み込むことすら許してくれなくてつい、頭を机に伏せてしまう。
嘔吐を辞めてから、嫌なことを飲み込まなくなった。同時に、嫌なことを吐き出せなくなった。0.1kg増えた体重を見て、ただ体重計の上でしゃがみ込むことしか出来なくなった。太るのが嫌だから始めた嘔吐ではないのに、気付けばよく見る摂食障害のように、太ることへの恐怖が芽生えていた。動く気力もない。動けば絶妙な渦が胃の中、心臓の下辺りをぐるぐると駆け巡る。起き上がるだけでも、口を大きく開けなきゃ息ができない。
_____感情も、体内も、全部塞ぎ込んで吐き出せない。
吐きたいといっても、吐けといっても、吐けない。いや、週1位では吐いている。性格には、吐けてはいるんだ。ただどうしようもなく少なくて、どうしようもないほどに色が無い。きっと、こうなってしまったら僕は手遅れなんだろうな、とトイレの湖面に反射して濁った自分の顔を見る。次、何かが変わるとしたら、前みたいに戻れるのか、嘔吐を辞めれるのか。わからない。でも僕は、ダメだとわかっていても、今後も全てを吐き出したいと願った。
気持ちの悪い話だが、僕の1番の信頼出来る友人はトイレなのだろうな。と回らない頭を巡らせた。ああ、凄く眠たいな。
甲斐田である意味は何処ですか。
物凄く適当に書いたら物凄く没が
出来上がってしまった。終わりだ!
ただの吐けない辛さを吐露しただけですね。
無意味!非常に無意味!!でも2000文字が
無駄になるのも悲しいので投げます。
#このかいだと同じ状況になってる人と繋がりたい












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!