昼休み
教室の前はちょっとした人だかりができていた。
中心にいるのは、もちろん彼。
女子たちの明るい声に囲まれて、みかさは困ったように笑いながらも断らない。
その優しさが好きなのに。どうしても胸が痛くなる。
廊下の隅からその様子を見ていた私は、小さくため息をついた
放課後になり、一緒に帰るため彼の教室へ迎えに行く。
私と彼はクラスが違うため、HRが早く終わった方が迎えに行くというルールがある。
彼の教室につくと、ちょうどHRが終わったようで、私に気づいた彼が嬉しそうに早歩きで近づいてきた。
でも私は、見てしまった。
彼に女子たちが話しかけようとしていたところを。
声をかけるタイミングを伺うように、彼の名前を呼ぶ女子たち。
彼なら断らないと思ったのだろう。
私が来ているのを見えていないのか、それともわざと無視しているのか。
けれど彼は迷わず私の元へ歩いてきた。
そう言って、自然に私のカバンを持ち、教室の出口へと導く。
一瞬、女子たちの表情に「えっ」という驚きが浮かんだ。
胸の奥が少しすっとしたけど、同時に不安も広がる。
彼は本当に人気者なんだ。誰からも好かれる人。
本当に、彼にとって私は特別なのだろうか。
帰り道、隣を歩く彼の横顔を見上げながら、つい口をついてしまった。
私は言葉に詰まって下を向く。やっぱり、私の方が勝手に嫉妬してるだけ?
そのとき——。
ぎゅっと、温かい手が私の手を掴んだ。
驚いて顔を上げると、みかさが真っ直ぐにこちらを見ていた。
鼓動が跳ね上がる。周りの生徒たちが驚いたように振り返ったけど、みかさは気にする様子もなく、むしろ堂々と私の手を握りしめた。
耳まで真っ赤になった私は、俯きながら彼の手を握り返した。
心の中のモヤモヤは、彼の一言で全部溶けていく。
——やっぱり、私の特別は、みかさくんだけ。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。