朝早い空港。
キャリーケースを引きながら、
長尾謙杜と埜愛は、
どこか高校生みたいにはしゃいでいた。
今日は——
2人の新婚旅行。
埜愛が嬉しそうに笑う。
謙杜も、
その笑顔を見るだけで幸せそうだった。
その言葉に、
埜愛は少し照れながら頷く。
ーーー
飛行機の中。
窓の外に広がる雲を見ながら、
埜愛はぽつりと言った。
謙杜は笑う。
すると謙杜は、
そっと埜愛の左手を握った。
薬指には、
お揃いのリング。
優しい声。
埜愛はその手を握り返した。
ーーー
到着したのは、
海が綺麗なリゾート地。
白い砂浜。
青い海。
夕日に染まる街並み。
埜愛は目を輝かせる。
その横で、
謙杜は景色じゃなく、
埜愛を見ていた。
真っ赤になる埜愛に、
謙杜は楽しそうに笑った。
ーーー
夜。
ホテルのバルコニー。
波の音だけが静かに響いている。
2人は並んで座りながら、
今日撮った写真を見返していた。
相変わらず甘い。
でも、
その空気が心地よかった。
ーーー
すると謙杜は、
ふと真面目な顔になる。
突然の言葉。
埜愛が静かに見つめ返す。
謙杜は笑う。
少し照れながら、でも真っ直ぐに言う。
その瞬間、
埜愛の目に涙が浮かんだ。
笑いながら涙を拭く埜愛を見て、
謙杜は優しく抱き寄せた。
ーーー
夜空には、
たくさんの星。
波の音。
温かい腕の中。
謙杜は小さく呟く。
埜愛は頷く。
そしてそっと、
謙杜の肩へ頭を預けた。
夫婦になって初めての旅。
それは、
幸せがゆっくり重なっていくような、
優しくて温かい時間だった。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!