本気だった
誰よりも
何よりも
自分の一番として
貴女だけを
愛していたと
言うのに
何がダメだった
そう言おうとして
気がついた
職業柄の営業も
語彙も
プライベートも
ホストときの俺は
恋人としては
欠落していて
恋人の俺は
ホストの風上に置けない
自分の野心なんて
捨てればよかった
最後まで
気づかなかったことも
誰よりも大切な
貴女を
そんな表情にさせるなんて
すでに俺は
恋人としては
いけない線を
踏み越えてしまって
いたようで
アイツなら
水を取りに
台所へ駆けてくれるのに
夢にまで見る
ああ、そうだ
まだ俺は抜け出せない
誰もいなくなって
人の痕跡だけが残った
ベッドから立ち上がって
緩んだネクタイを
締め直して
水を飲む
俺1人、まだ
抜け出せずにいて
煙草の匂いを纏って
カウンターにもたれて
寝かかっている
彼女の横に座ろうとして
右側を選んだ
もう、左には
座れない
そこは、彼女が
選んだ人しか
座れない
俺にはもう
座る資格すら
与えられない














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。