第2話

好きになった理由なんて、思い出さないくらい当たり前だった
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2025/10/20 00:57 更新
マーク先輩を好きになった理由を聞かれたら、たぶん明確な答えは出せない。

最初から特別だったわけじゃない。

ただ、気づいたら目で追ってて、声を聞くと胸が熱くなって、それが“好き”だって知っただけ。

──きっかけは、あの日の体育館だった。
🐯
あなたの下の名前、タオル取ってくれる?
練習中、汗だくで笑いながら私を呼んだマーク先輩。

バスケ部のマネージャーになって、まだ数日しか経ってなかった頃。
あなた
はい、どうぞ先輩!!
差し出したタオルを受け取って、先輩は照れたように「ありがと」と笑った。

ただそれだけで、心臓が跳ねた。
その日の帰り、体育館の裏で先輩がひとりでシュート練習してた。

ボールの弧が夕日に溶けて、静まり返った体育館に響くドリブルの音。

汗で濡れた前髪をかき上げながら、ひたむきに動き続ける姿が、私にはすごく綺麗に見えた。
その人を、好きにならない理由なんてなかった。



🐰
また来たの?マクヒョン今日も残ってんだって
同級生のジェミンに声をかけられたのは、そんな毎日が続いたある放課後。

ヘッドホンを首にかけたまま、笑って私を見る。
あなた
見に来たんじゃなくて、差し入れ届けに来ただけ…!
🐰
はいはい、バレバレ。分かりやすいんだって、あなたの下の名前は
ジェミンは意地悪でもなく、ただ事実を言うみたいに笑うだけだった。
その笑顔が、なぜか少しだけ胸に引っかかった。



でもあの日。私はその恋の終わりを自分で選んだ。
先輩に告白して、断られて。
今はもう、体育館を見るだけで胸が痛くなる。
あなた
……忘れなきゃ
そうつぶやくけれど、目に焼きついた先輩の横顔は簡単には消えない。

優しい声、真っ直ぐな瞳、私の名前を呼ぶ温度。
全部、好きだった。
けれどその横で「大丈夫?」って言ってくれた人の声も、確かに私の胸に残っていた。
あの日、階段の踊り場で涙を見たジェミンの声が、頭から離れない。





──もしかしたら、ここから始まる恋もあるのかな。
そう思えたことが、少しだけ、怖くて嬉しかった。

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