と嘆く誰かの
これは俺が今誰かに送る
最初で最期の
街も人も歪みだした
欲動に染まった愚かさが全て俺の心に映る
人は偽の情報の上で誰も彼も踊らされる
産まれた意味なんて知らぬまま
誤った情報はいつの間にか広まり錆びついていた
きっと誰もがそう願ったはずだ
もしあの時、2人の手を握っていたら…
その浅はかな“もし”が俺の心を抉る
“こんな世界”と嘆く誰かの
どうせ人は死ぬんだと気づいた日から
死へと秒を読む心臓を恐れなくなった
どうか…どうか、いつもみたいに
もしも夢さえ覚めなければ
あの2人を永遠に見ていられた…?
動かしづらくなった指から消えていく温度
血を巡らせているのは
雨に濡れた廃線
煤けた病棟
並んだ送電塔
夕暮れのバス停
止まったままの観覧車
事務所に置いてある生け花も
2人の声も何もかも
空っぽの俺は今日も息をして
希望で溢れていた2人は未来を失って
いづれは死ぬのが人間なのに
あぁ永遠なんかないけど
思い通りの日々が続かなくても
脆く弱い糸に繋がれた俺の運命がまた訪れる
俺のこの地獄で2人との思い出はいつでも
絶えず鼓動する心臓だ












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!