第6話

誰かの心臓になれたなら(ホクア)
300
2025/07/27 03:04 更新
仁……?
こんな世界…
と嘆く誰かの
物怪瑠衣
物怪瑠衣
生きる理由になれるんだろうか…
これは俺が今誰かに送る
最初で最期の
物怪瑠衣
物怪瑠衣
愛の言葉だ














杖道(過去)
『仁、ナポリタンが出来たぞ』
仁(過去)
『あぁ、ありがとう』
物怪瑠衣
物怪瑠衣
『仁お前口についてるぞwww』
仁(過去)
『るせぇよ』





街も人も歪みだした
物怪瑠衣
物怪瑠衣
化け物だって気づいちまったよ…



物怪瑠衣
物怪瑠衣
仁ッ!おっさんッ!目を覚ませよ!!!


犯人
俺が轢いたんじゃなくてアイツらが飛び出してきたんだ
物怪瑠衣
物怪瑠衣
そんな訳ッッ!
欲動に染まった愚かさが全て俺の心に映る
警察
見ていなかったのでしたらその可能性も…
人は偽の情報の上で誰も彼も踊らされる
産まれた意味なんて知らぬまま
誤った情報はいつの間にか広まり錆びついていた
ニュースキャスター
速報です
ニュースキャスター
ネスト序列21位ホークアイズの名探偵と記録者がトラックに跳ねられ◯亡しました
ニュースキャスター
トラックの運転手によると「アイツらが飛び出してきた、俺は無罪だ」と話しているとのことです
仁(過去)
愛ください
きっと誰もがそう願ったはずだ
杖道(過去)
愛をください
もしあの時、2人の手を握っていたら…
る…い…?
愛を…ください…?
その浅はかな“もし”が俺の心を抉る
物怪瑠衣
物怪瑠衣
醜いくらい美しいその愛が…


“こんな世界”と嘆く誰かの
物怪瑠衣
物怪瑠衣
俺は生きる理由になんかなれねぇよな…w
どうせ人は死ぬんだと気づいた日から
死へと秒を読む心臓を恐れなくなった
物怪瑠衣
物怪瑠衣
なぁ…このまま雨の中、2人みたいに飛び出して消えてもいいからッ…!
どうか…どうか、いつもみたいに
物怪瑠衣
物怪瑠衣
そんなこと言うなって怒ってくれよッ…

















もしも夢さえ覚めなければ
あの2人を永遠に見ていられた…?
動かしづらくなった指から消えていく温度
血を巡らせているのは
物怪瑠衣
物怪瑠衣
誰の思い出だろうな
雨に濡れた廃線
煤けた病棟
並んだ送電塔
夕暮れのバス停
止まったままの観覧車
事務所に置いてある生け花も
2人の声も何もかも
物怪瑠衣
物怪瑠衣
最初から無かったら良かったな…w





空っぽの俺は今日も息をして
希望で溢れていた2人は未来を失って
物怪瑠衣
物怪瑠衣
なのにどうして悲しんだろ…
いづれは死ぬのが人間なのに
仁(過去)
『おい瑠衣』
杖道(過去)
『全く、今回だけだぞ』
物怪瑠衣
物怪瑠衣
『はいはーい』
あぁ永遠なんかないけど
思い通りの日々が続かなくても
脆く弱い糸に繋がれた俺の運命がまた訪れる
物怪瑠衣
物怪瑠衣
こんな俺でも2人がいたから生きていたいって思えたんだよ
俺のこの地獄で2人との思い出はいつでも
絶えず鼓動する心臓だ
物怪瑠衣
物怪瑠衣
いつしか2人がくれたみたいに
物怪瑠衣
物怪瑠衣
俺も誰かお前の心臓になれたならな!





物怪瑠衣
物怪瑠衣
(仁、おっさん)
物怪瑠衣
物怪瑠衣
(俺、もう少しだけ生きてみるよ)

プリ小説オーディオドラマ