中学二年生の冬
目の前には各教科40点台しかとれてないテストがある。
理由は分かっていた。
私をE組に『落としたい』と思っているA組の女子が勉強を教えてと、
口実を作りあなたの下の名前の勉強の時間を奪ったのだ。
クラスの女子は15人。
皆の苦手教科が、私の得意教科だったのは
私の苦手教科の勉強時間をなくすためだったんだ。
おかしいと思ってた。
まさか、クラスの女子が全員苦手教科が同じだなんて。
おそらく私の考えは間違ってないと思う。
でも、これだけじゃ、E組には落とされない。
理由は簡単。
私が、浅野くんと理事長の"お気に入り"だから。
ガタッと席を立ち理事長室へ向かう。
next》本編
☆=15
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!