佐久間が向かった先には、地面で支え合う舘さんと阿部。
そして、子供のように小さく縮んだラウールがいた。
🤍「…佐久間くん。」
今にも怒鳴りそうな。
でも、悲しそうな。
複雑な表情を浮かべたラウールに、佐久間は微笑んで、手をかざそうとする。
と、舘さんがそれを制した。
❤️「…もしかして、俺らの記憶を消そうとしてる?」
💗「うん。」
💚「俺は嫌だよ…?」
うずくまっていた阿部が、顔を上げた。
💚「何で佐久間を忘れなきゃならないの?
佐久間の望みでも、無理!」
💗「でも、ごめんね。」
お構いなしに、佐久間は近づいて
その手のひらから光が漏れた。
…が、
💚「……忘れないよ…?」
へらっと笑った阿部が、佐久間の頭を撫でた。
❤️「佐久間はずっと俺らの親友だから。」
優しく抱き寄せる舘さん。
🤍「大好きだよ、佐久間くん…
だから、1人で抱え込まないでよ。」
小さなラウールの言葉も重なって。
💗「……っ。
お前ら、忘れろよぉっ。
抵抗されたら、俺、もう、力ないんだよぉぉ…」
泣き崩れる佐久間を、優しく抱いて、
3人は佐久間を覆い隠す。
その小さな体に背負った、大きな大きな責任を、
どうかこの瞬間だけは、取り除けますように。
💗「……ありがとう。」
佐久間はそれだけ言い残し、立ち上がった。
3人とも、何を言っても無駄だとわかっているから。
軽く頷き、微笑む。
これが最後だと思わせないように。
next💙💜+💗…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。