文化祭に体育祭、
慌ただしかった日々が過ぎ、
今日は休日。
私はこの間受けた模試の結果を見ながら
1人、考え込んでいた。
『……S判定だったけども、、
ほんとに1問も間違えて無かったのか不安になるよ逆に。』
通知書類には「全国順位、1位」の文字。
「あなた様はやはり、とても優秀なのですね。」
『…努力はした。
あとは父さんがこれを見てなんて言うかだよ…』
そう、
私は今ある事を父さんに許可してもらわなければいけない。
それは…
ガチャッ_。
『あっ……と、父さん…模試の結果が返ってきたんですけど、』
天宮父「ああ、知ってるよ。
S判定だったんだろう?」
『(知ってるんだ…)
はい……それで、一つお願いが……』
天宮父「お願い…?なにかな?」
コーヒーを飲む手を止め、私を見る父さん。
うう……相変わらずの圧だ。
『あの、、宮城の母の元へ……1度戻りたいのですが…、
あっ、数日だけです。』
話に行くって決めたから、
まずはちゃんと父さんに許可とらないと…
天宮父「…気をつけて行ってきなさい。
母さんには連絡をしておくよ。」
『_!!ありがとうございます。』
パタンッ。
『よし……許可貰えた……
あとは、、
若利と……会う「機会」を作らないと、、』
白鳥沢にいた頃の連絡先は全て消してしまったし、、
どうしようかな、
向こうに着いてから機会を作れるかどうか……
『うーん、、』
〝これ__俺の連絡先だけど。
なんかあったら……溜め込まないで頼れよ。〟
『あ、………1人だけいた……』
転校する日、
私の手に自分の電話番号を書いた紙を、握らせるようにして_
そのまま走り去っていった人。
『………確か、、生徒手帳の中に入れたはず。』
白鳥沢の生徒手帳は、
なぜだか自然と兵庫までもってきてしまったのだ。
だから、、その紙もあるはずだ。
『えっと………あ、あった……』
ピッ、ピッ、
と書いてある番号をそのまま打ち込む。
『きっと部活が終わってすぐだろうな、、
申し訳ない……』
プルル__プルルル__
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in白鳥沢。
五色「お疲れ様ッした!!」
白布「お疲れ。あれ、牛島さん…まだ練習するんですか?」
若利「ああ…、今日はサーブがいつもより
上手くいかなかった。」
白布「…俺も練習付き合いま___」
ブーッ。ブーッ…。
白布「あ、すみません…
(知らない番号……)
もしもし…」
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『…っ!……あ、、久しぶり……あの、私……
あなただけど、、』
白布「…!あなた…?」
久しぶりに聞く彼の声。
白布賢二郎。
私と彼は同じクラスで、悩み事があるとたまに相談に乗って貰っていた。
『いきなりごめんね、、』
白布「あんまりにも久しぶりだから、…びっくりした。
…元気でやってんの?」
『うん…、元気。実は電話したのは、
今度そっちに帰るから……その時にお願いがあって、』
白布「お願い…?なに?」
『………若利と、、会って話がしたいの。
どうしても直接面と向かい合って話したいことがあるの。』
白布「……それって、あなたが牛島さんと別れた事と、
転校して行った事と関係がある事?」
『…うん。言えなかった、
いや___
言わなかったの。私が…逃げちゃったの。
でもそれじゃあだめだって、わかったから。
だからどうしても話しておきたいの。』
そう言うと白布は
「わかった、牛島さんに帰ってくる日伝えておくから」
と言った。
『…ありがとう。』
白布「じゃあ…会える時間帯聞いたらまた連絡する。」
『うん、』
ピッ。
『はぁ……緊張した……』
……でも、ちゃんと言わなきゃ。
私が貴方の傍を離れた理由。
そして、転校した訳も。
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休み明け、学校にて。
『…土曜日の午後から…か。』
白布から連絡があり、その日に会える事になった。
『今更なんだよとか思われるかな、、』
緊張と不安が入り交じり、ため息が出る。
治「ため息ついたら幸せが逃げてくで?」
『治…』
治「…決まったんやろ?会える日。」
『うん。そうなの。……でもいざ会うってなったら
緊張しちゃって…』
そう言うと治はポンッ、と私の頭に手を置き、
治「大丈夫や。ちゃんと自分の言いたかった事
話すんやで。
あと……お願いというか…あんねんけど…」
『ありがとう。
……お願い?なに?』
そう言うと治は下を向きながら
治「……そのまんま宮城に残って
帰って来ぉへんちゅーことはやめてな…?」
と、少し不安げな顔を浮かべた。
え……可愛い…
『大丈夫!ちゃんと兵庫に帰ってくるよ。
行くのは2日だけだから。』
治「…ほんま?」
『うん!』))ニコッ
治「_!
…やっぱり、
あなたは笑ってる時がいっちゃん可愛ええな、」
ふ…とやんわり微笑む。
『えっ…そ、そうかな_//』
治「せやで。…ずっと笑っとってほしい。」
『あ、、ありがとう?』
侑「はいそこ。近すぎや。」
『侑!いつの間に…』
治「(俺があなたと話とったら
いつも来るんよな…コイツ。)
なんやねん。自分のクラス戻れや。」
侑「はぁー?ええやんか別に!
サムはええよなぁーあなたと同じクラスで!!」
私の頭に肘を置き、治にそう言い放つ。
…いや、、だから、肘置きにしないでほしいんだけど。
『痛い重い邪魔!』
治「あなたが嫌がってるやんか。離れろや。」
『そうだよ!離れてくれたらいいから、』
侑「たまにしか会えんからええやんか!!」
『いやあの、』
治「いやほぼ毎時間こっち来てるやんか!
何がたまにや!ドアホ!」
『ちょっ、』
侑「ぁあ!?じゃかぁしいわ!!やるんかゴルァ!」
『………お前らええ加減にせぇよ?』
侑・治「_ウィッス。」
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なんやかんやですぐに土曜日になった。
朝イチで神戸空港から飛行機で飛び、東京から仙台、
そして___宮城に到着。
『久しぶりだな、まず母さんのとこに行かなきゃ。』
宮城の家に着き、インターホンを鳴らすと
母さんが出迎えてくれた。
天宮母「久しぶりね、あなた。
会いたかったわ〜ふふ♡」
ギュウゥウ…
『うぐっ…か、母さんくるしっ。』
中へ入り、荷物を置く。
天宮母「最近どう?あっ、あの子とはどうなってるの!
ほら、侑くん!」
『))ビクッ!……あ、侑とは…えっと、、』
しまった、食事会であったこと忘れてた…!!
私と侑は……付き合ってることになってるんだった、、
『ま、まぁまぁ順調だよ!あはは、、』
ここでバレると面倒だから、
ごめんね侑…))泣
天宮母「そうなの?♡あの子すっごく格好のいい子だったから、やっぱりモテるんじゃない!?
大丈夫なの!?貴方鈍感なとこあるからちゃんと見とかなきゃだめよ。」
『うん、わ、わかってるから…』
いそいそとリビングを出て、スマホで時間を確認する。
……待ち合わせ場所は白鳥沢高校近くの公園。
もうすぐ行かなきゃ。
若利に…
私の〝今まで〟を話すために。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。