背中にかけられた低い声に、思わず振り返る。
見ると、濃い青色のスーツを着た男性が、
私に傘を差し出している。
いつの間にか、雨が降っていたみたいだ。
全く気が付かなかったのもそうだけど、それよりも。
彼に、似ている。
目元のあたりが、すごく。
跳ねる心臓を必死に落ち着かせて、
なんとか言葉を続ける。
目の前の男性は、黒い警察手帳を片手に言った。
ああ、間違いない。
きっとこの人が、彼のお兄さん。
この人に聞けば、答えてくれるだろうか。
「弟は死にました」と、言ってくれるだろうか。
彼のお墓に、連れて行ってくれるだろうか。
いや、何言ってんだろ私。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!