あなた 「ッ……グスッ……」
あれから30分は経った。
私みたいな奴に相手するだけ無駄なのに、お兄ちゃんは、ずっと、私が落ち着くまでそばにいてくれた。
及川 「ちょっとは落ち着いた……?」
あなた 「……ッ、うん」
及川 「俺もバレーボール好きだから部活やりたい気持ちはすっごく分かる。例え体調が悪くても好きなこと優先したいよね、でもそこで無理して倒れちゃったりすると元も子もない。俺は世界で一番大好きな妹を失いたくない。だからもし今日みたいに体調悪くなったらしっかり休んで元気になってからまたやり直せばいいと思うよ。」
及川はあなたの背中を擦りながら優しく言った。
あなた 「でも、みんなに迷惑かかった…ッ…私がいてもいなくても迷惑なことには変わりない…」
こんなに迷惑かけて…私はただ、バレーが好きなだけなのに……
及川 「みんなあなたのことが迷惑って言ったの?」
あなた 「言ってないけど口には出さないだけで絶対思ってる…に決まってる。」
及川 「なんでもそういうふうに決めつけないの〜、とりあえず今はさ、体調治すこと考えよっか。迷惑かどうかは治って部活参加したときに分かると思うよ」
半信半疑でお兄ちゃんを信じた。どうせ早くやめろとか言われるんだろうな
及川 「お母さんにはこのこと言わないでおくね、じゃあ俺シャワー浴びてくるから、ちゃーんと寝ててよね!」
あなたはコクっとうなずいて、そのまま眠った。
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澤村 『なんだ、もう復活したのか。』
菅原 『えぇ…まじかよ、もっと遅くてよかったのにな笑』
日向 『あなたって本当に部活やる気あんのか?』
影山 『約立たずはこの部活にいらねぇ。』
田中 『潔子さんに迷惑ってわからねぇのか?なぁ、潔子さん』
清水 『うん…正直私一人でやったほうが楽…かな』
『そんなっ…でもっ、まだできます…』
花巻 『及川が迷惑してるの気づかない…?』
松川 『あんまり調子乗らないほうがいいよ』
岩泉 『もう俺らの学校来んなよ。』
及川 『こんな妹…いらないよ。』
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あなた 『ハッ…!』
夢…か。
最悪だ。よりによってなんでこんなタイミングにあんな夢…
怖い、
時刻はもうすぐ午前3時
お兄ちゃんやおかあさんはもう寝たはずだ。
寝ようにも寝れなくてベッド付近の明かりをつける
あなた 「もう……死にたいッ、、、」
自分の自信のなさ、惨めさで更に気が重くなった。
目の前の視界が涙でぼやける。
結局その日から、まともに寝れなくて睡眠薬を摂取した。規定の量は1粒だがOD経験済みの私は早く寝たいという欲望だけで10粒は余裕で飲んだ。
お兄ちゃんを頼るべきなんだろうけどあの夢が本当になるのが怖くて言わなかった。
無理して素直になれない私には到底無理な話だ。
睡眠薬を摂取しているのにもかかわらず、全く寝れなかった。
今日から学校なのに大丈夫だろうか。
コンシーラーとメイクでクマを隠し、お兄ちゃんと家を出る
あなた 「行ってきます!」
及川 「あなた、体調どう?」
あなた 「すっかり元気になったよ!」
嘘…メイクの下には隈がひどい私の顔、この前より増えた数カ所の痕、前より頭痛がひどく、今すぐにでも倒れそうだがこれ以上迷惑かかるのが嫌で隠し通すと決めた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!