家までの道は、昼間の賑やかさが
嘘みたいに静かだった。
街灯の下を並んで歩きながら、私は何度も
スマホを握り直していた。
正直に答えると、ロウは
小さく息を吐いてから、少しだけ歩調を緩めた。
その言葉に、胸の奥がじわっと熱くなる。
平気なふりはできる。でも、
苦しくならないわけじゃない。
声は冗談っぽいのに、目はやけに真剣だった。
胸の奥で固まっていた何かが、
少しだけ溶ける。
少しだけ沈黙が落ちる。
そのあと、私のほうから小さく言った。
家の前に着いて、私は足を止めた。
小さく頷いてから、ドアを開ける。
背中越しに、ロウの声が届いた。
部屋に入って、ドアを閉めてから、
ようやく深く息を吐いた。
星導と、ロウと、そして自分の気持ち。
全部がまだ整理できなくい。
少なくとも、もう一人で立ち向かわなくていい。
そう思えたことが、今はほんの少しだけ
救いだった。














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!