それからは本当に順調だった。
みんながたくさん配慮してくれて体の負担も
最小限にすんでいるようで。
時々休みももらって紫耀とたくさんの場所に
出かけて、その光景を目に焼き付けた。
だからーーー
笑顔でみんなを送り出すことができた。
余命といわれていた、1年。
それもゆうに超えて。
病気って嘘なんじゃないか、って。
そう思うようになってきたほどに。
.....けれど、それは突然やってきたのだ。
2人体制でのライブが決まった。
今までより決めることがたくさん増えて。
だけど絶対手抜きはしたくないから
日々頭を巡らせていた。
時差もあるから毎日とはいかないけれど、
紫耀ともちょくちょくやり取りはしていて
ときどきするテレビ電話ではジンや岸くんとも
顔を合わせることができていて。
お互いの近況やくだらない話をしていて
グループじゃなくなってしまったけれど
友だちとして、そしてある意味ライバルとして
楽しい日常を送っていた。
そして俺たちのライブ計画も大詰め。
リハも進んで本番までもう少し、といった日。
紙資料をまとめて立ち上がったそのとき。
全身の血液が下がっていくような感じがした。
血の気が引く、っていうのかな。
とにかく立ってられなくて、
そして次の瞬間、激しい胸の痛みが俺を襲った。
バランスを取れなくて盛大にパイプ椅子を倒し
テーブルに身体が当たってそして床に倒れた。
響く廉の声とスタッフの声。
ああ、これが終わりなんだ、って。
こんな中途半端な終わりなんだ、って。
ライブ、やりたかった。
廉、ごめんなさい....。
薄れゆく意識の中、最後に思い浮かんだのは
やっぱり紫耀、あなただった。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!