第玖話
『.........』
私は、気づいてしまった...
私は、確実に負けている。
だって...私、この人みたいに「どこか遊びに行こう。」って誘ってないし、
というかそんな勇気ないし。
でも、これも勝負なんだよ。うん。絶対にこの人には負けたくない!
白澤「次は....どこか行きたいとことかある?(*^^*)」
『え、行きたいところですか...う〜ん...(あっ...)』
私は、近くのクレープ屋に足をとめた。
そういえば、最後にクレープを食べたの、いつ頃だっけ...?
私の視線の向こうに気づいたのか、白澤様が訊いてきた。
白澤「あれ食べる?」
『......そうですね。久しぶりに食べたいです。』
白澤「わかった。行こう。」
『はい。』
そして私はクレープを頼んだ。
※頼んだクレープはあなたの好きなクレープ(サラダじゃない方)で。
『...いただきます。』
久しぶりに食べたクレープは、とても甘くて美味しくて、昔を思い出す。
そうだ.....昔は...
『...美味しい...』
白澤「それは良かった。(*^^*)」
白澤様は、行動が勿体なくても、本当はとても優しくて、泣いちゃうくらい優しくて、私をどうしようもない気持ちにさせる。
そう思った途端、なぜか私の頬に涙が伝った。
それに気づいた白澤様がちょっと慌てながらも、気遣ってくれた。
白澤「ど、どうしたの?大丈夫?」
優しく声をかけながら、背中をさすってくれる。
その優しさに、耐えられなくなる...
『っ...大丈夫です...生前の頃を思い出しただけですので...』
これ以上...思い出したくない。
ずっと、忘れたかったのに...
白澤「.....まぁ、無理には訊かないけどさ、しんどかったら言ってよ?」
『.....はい。』
白澤「.......(これは、もう帰したほうが良いかもしれないね。)」
『...........』
白澤「......帰ろっか。」
『........』
私は無言で頷いた。
やっぱり、優しい。
もう決まった。
この勝負は、私の負けだ。
でも、この気持ちを伝えることはない。
黙っていれば勝つかもしれないから!
『.........(と思ってもなぁ...)』
翌日、私は桃太郎さんとカウンターの当番をしていた時、シロちゃんたちとお話していた。
『.......はぁ...』
シロ「またため息だ。」
ルリオ「どうしたんだよ。」
桃太郎「もう...そのため息、何回目ですか?」
『7回目です。』
柿助「数えてたんだ。」
『一応。』
桃太郎「昨日、白澤様と何かあったんですか?」
桃太郎さんに訊かれ、昨日のことを思い出す。
そして少し考え込んで...
『........訊かないでください。(*^^*)』
断るように言った。
桃太郎「え、あ、すみません。」
謝ることなのだろうか。
でも......
(なんであの時...安心するって思ったんだろ...)
桃太郎「あなた様?」
『.......桃太郎さんって恋したことありますか?』
桃太郎「え!?どうしたんですか急に...」
いきなりの質問に、桃太郎さんが顔を赤くした。
『その反応、あるんですか?』
シロ「え〜!?だれに!?だれに〜!?俺そんなの聞いてないよ〜!?」
桃太郎「い、いや、ないですよ!!」
『そうですか。』
桃太郎「そ、そういうあなた様はあるんですか!?」
『え?私は...』
桃太郎「というか、白澤様のこと、どう思ってるんですか!?」
『いや、なぜ白澤様前提なんですか...』
桃太郎「だってこの頃、白澤様と仲良いですよね?」
仲良い...のか...?
自分でもわからない。
白澤様のことをどう思ってるのか、わからない。
負けた自覚はある。
でも、本当に好きなのかは、わからない。
桃太郎「白澤様のこと、どう思ってるんですか?」
『う〜ん.....どうと言われても...』
白澤「なんの話〜?」
『!?!?は、白澤様...!?』
桃太郎「あ〜、あなた様は白澤様n『わぁわぁわぁわぁ!!』えっ...」
『余計なことを言わなくて良いです!!』
白澤「え、なになに、気になるんだけど...」
『気にする必要はありません!!』
シロ「すごい慌てようだね。」