第10話

第玖話
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2022/06/21 06:19
第玖話



『.........』

私は、気づいてしまった...

私は、確実に負けている。
だって...私、この人みたいに「どこか遊びに行こう。」って誘ってないし、
というかそんな勇気ないし。
でも、これも勝負なんだよ。うん。絶対にこの人には負けたくない!

白澤「次は....どこか行きたいとことかある?(*^^*)」

『え、行きたいところですか...う〜ん...(あっ...)』

私は、近くのクレープ屋に足をとめた。
そういえば、最後にクレープを食べたの、いつ頃だっけ...?
私の視線の向こうに気づいたのか、白澤様がいてきた。

白澤「あれ食べる?」

『......そうですね。久しぶりに食べたいです。』

白澤「わかった。行こう。」

『はい。』

そして私はクレープを頼んだ。
※頼んだクレープはあなたの好きなクレープ(サラダじゃない方)で。

『...いただきます。』

久しぶりに食べたクレープは、とても甘くて美味しくて、昔を思い出す。
そうだ.....昔は...

『...美味しい...』

白澤「それは良かった。(*^^*)」

白澤様は、行動が勿体もったいなくても、本当はとても優しくて、泣いちゃうくらい優しくて、私をどうしようもない気持ちにさせる。

そう思った途端、なぜか私のほほに涙が伝った。
それに気づいた白澤様がちょっと慌てながらも、気遣ってくれた。

白澤「ど、どうしたの?大丈夫?」

優しく声をかけながら、背中をさすってくれる。
その優しさに、耐えられなくなる...

『っ...大丈夫です...生前の頃を思い出しただけですので...』

これ以上...思い出したくない。
ずっと、忘れたかったのに...

白澤「.....まぁ、無理には訊かないけどさ、しんどかったら言ってよ?」

『.....はい。』

白澤「.......(これは、もう帰したほうが良いかもしれないね。)」

『...........』

白澤「......帰ろっか。」

『........』

私は無言で頷いた。

やっぱり、優しい。
もう決まった。


























この勝負は、私の負けだ。
でも、この気持ちを伝えることはない。

黙っていれば勝つかもしれないから!























『.........(と思ってもなぁ...)』

翌日、私は桃太郎さんとカウンターの当番をしていた時、シロちゃんたちとお話していた。

『.......はぁ...』

シロ「またため息だ。」

ルリオ「どうしたんだよ。」

桃太郎「もう...そのため息、何回目ですか?」

『7回目です。』

柿助「数えてたんだ。」

『一応。』

桃太郎「昨日、白澤様と何かあったんですか?」

桃太郎さんに訊かれ、昨日のことを思い出す。
そして少し考え込んで...

『........訊かないでください。(*^^*)』

断るように言った。

桃太郎「え、あ、すみません。」

謝ることなのだろうか。
でも......

(なんであの時...安心するって思ったんだろ...)

桃太郎「あなた様?」

『.......桃太郎さんって恋したことありますか?』

桃太郎「え!?どうしたんですか急に...」

いきなりの質問に、桃太郎さんが顔を赤くした。

『その反応、あるんですか?』

シロ「え〜!?だれに!?だれに〜!?俺そんなの聞いてないよ〜!?」

桃太郎「い、いや、ないですよ!!」

『そうですか。』

桃太郎「そ、そういうあなた様はあるんですか!?」

『え?私は...』

桃太郎「というか、白澤様のこと、どう思ってるんですか!?」

『いや、なぜ白澤様前提なんですか...』

桃太郎「だってこの頃、白澤様と仲良いですよね?」

仲良い...のか...?
自分でもわからない。
白澤様のことをどう思ってるのか、わからない。
負けた自覚はある。
でも、本当に好きなのかは、わからない。

桃太郎「白澤様のこと、どう思ってるんですか?」

『う〜ん.....どうと言われても...』

白澤「なんの話〜?」

『!?!?は、白澤様...!?』

桃太郎「あ〜、あなた様は白澤様n『わぁわぁわぁわぁ!!』えっ...」

『余計なことを言わなくて良いです!!』

白澤「え、なになに、気になるんだけど...」

『気にする必要はありません!!』

シロ「すごい慌てようだね。」

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