月曜日の放課後。
俺は重い扉を開けながら、手元のプリントを睨みつけていた。
先週サラが持ってきた予定表の正体は、舞台のサイズ感を測るための『立ち位置確認』だった。
大道具の搬入ルートや、照明がちゃんと主演に当たるかのテストらしい。
と、担任にも言われていた。
少し安心しながら体育館に入ると、すでにステージの上では大道具担当の奴らがベニヤ板を運んでいた
ステージの袖から手を振ってきたのはあなただった
今日も髪を耳にかけて、やる気十分という顔をしている。
客席側のパイプ椅子を見ると、ちゃっかりライとサラが並んで座っていた。
ライにいたっては、持参したペットボトルの緑茶を掲げてこちらにニヤニヤと手を振っている。
心強いというか、ただの野次馬やろ、あいつらは。
舞台の下から、文化祭実行委員の女子がメガホン越しに声をかけてきた。
俺とあなたは顔を見合わせ、木製の階段を上ってステージの上へと向かう。
いざ舞台の真ん中に立つと、想像以上に客席が広く、そして遠く感じられた。
まだ誰も居ないはずのパイプ椅子が、妙な圧迫感を持って迫ってくる。
あなたが少しだけ俺の袖を引いた。その手が心なしか、いつもより小さく震えている気がした。
そう気づいた瞬間、俺の胸の中に、少しだけ『しっかりせな」という妙な責任感が芽生える。
メガホンの声が、体育館に容赦なく響き渡った。
俺が硬直した瞬間、体育館の照明がぱっと落とされた。
かわりに、ステージの真ん中を狙って、目もくらむような鋭いスポットライトが一筋、俺たちの真上に降りてくる。
光の向こう側で、あなたがいつものように歩幅を合わせて一歩を踏み出す。
暗闇とまぶしい光の中で、俺たちの影が、舞台の床にギザギザと伸びていった。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。