第15話

🥟🐺番外編『最初で最後の女』2
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2026/04/25 23:27 更新


ヒョンジンは物心ついた頃から、孤児院で育った。


親の顔も知らず、頼れる身内もいない。



16歳。



周りの友人たちは「初体験」の話を自慢げに語り合う年齢になっていた。


「どんな子がタイプ?」


「お前、もう卒業した?」


そんな会話が飛び交う中、ヒョンジンは黙って笑ってやり過ごすしかなかった。

自分には、そういう「欲」がなかったから。



ただの遅れなのか、それともーー


その漠然とした不安を打ち消したくて、彼は衝動的に大人の世界へ足を踏み入れた。


薄暗い店内で選んだのは、一番優しそうな顔ーどこか懐かしい感じのする顔の女の人だった。




「わぁ、若いねぇ! 今日はよろしくね」



茶髪にピンクのメッシュ。


華やかな夜の装いの彼女は、緊張で固まるヒョンジンを明るく迎えた。



「大丈夫。緊張しないでいいから」



そして彼女は優しく服を脱がせてくれて、身体を洗ってくれた。


けれど、どれだけ丁寧に触れられても、ヒョンジンの体に変化は起きなかった。



「うーん。緊張だけじゃなさそうね。」


スッと顔を覗き込まれた瞬間、彼女の瞳にすべて見透かされた気がして、身構える。

「あなた、男の子の方に興味あるんじゃない?」



「——え?」


頭が真っ白になる。


そんなこと、一度も考えたことがなかった…


と言えば嘘になる。


ふとした瞬間、湧き上がる想いに、まさか自分はと蓋をしてきたもの。押さえつけていたもの。



「んー、自覚がなかった?それとも身に覚え、あり?」



彼女はくすくすと笑った。



「うーん、まぁいいんじゃない?そういう子、結構いるよ?でもこの街で生きていくには、ちょーっと大変かもねぇ。」



「……」



「よし、お姉さんが色々教えてあげる!あとでここに来て!お金もったいないから。」


そう言って彼女は、自分の家に呼んでくれて、


「この街でどうやって生きていくか」


「どこなら安全か、誰に気をつけるべきか」


「無理に自分を変える必要はない」


——そんなことを、夜が明けるまで話してくれた。




この日、ヒョンジンは”自分”を知った。


そして、あなたという”最初で最後の女”に出会った。




「……そうだったんだ。」



バンチャンは、腕の中に収まったヒョンジンの横顔を見つめながら呟いた。


 狭いベッドの上、ヒョンジンはバンチャンの腕を枕にしながら、天井をぼんやりと見上げてポツポツと言葉を紡いだ。


「こんな世界だからな。教えてもらわなければ、危ない目に遭ってたかもしれない。」



「あんな感じだけど、悪い人じゃないってのはわかるよ。」


「……でもお前、あなたと俺がそういう関係だって疑ってただろ?」



「そ、れは……」



図星を突かれ、バンチャンは思わず視線を泳がせる。



「そりゃそうだよ。あんなに綺麗で可愛い人だもん。」



ヒョンジンはその言葉を聞くやいなや、逃がさないようにバンチャンの腰に腕を回し、ニヤリと笑った。
「じゃあ、抜いてもらう?せっかくだし。」



「はぁ!?なんでだよ!」



バンチャンは思わずヒョンジンの肩を叩く。


ヒョンジンは笑いながら、肩を竦めた。


「俺は全然興味なかったけど……まぁ、人によるみたいだからな。」



「もう黙れ!」


バンチャンは顔を真っ赤にしながら、ヒョンジンをもう一度叩いた。


ヒョンジンは、そんなバンチャンの反応を見て、少しだけ嬉しそうに笑った。

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