いつか気づかれるとは
思ってた
誰も何も言わなかった
いや、何も言えなかったのかもしれない
回想
目が覚めたら
知らない部屋にいた
なんでこんなとこにいるの?
必死に思い出そうとしたけど
流れてくるのは
トラックの音とライトの強い光
逆に言うと
それ以外
出てこなかった
僕は誰で
ここはどこなのか
いきてるのか、死んでるのか
あやふやで
そんな時
ベッドの横の
色紙が目に入った
『ころんくんへ』
あぁ、僕はころんって言うのか
それともうひとつ
僕にはこんなに思ってくれる人達がいたのか
その色紙には
メンバーからはもちろん
STPRの方
リスナーさんの応援コメントまで
印刷されてて
それが山積みになっていた
いや、病室ってこんなに持って来るもんだっけ?
なんて思いながら
この人たちを
裏切っちゃダメだ
と、
使命感に駆られた
僕はとりあえず
近くにあった
割れたスマホに電源を入れる
まだ使えるようで
再起動はしたけど
問題なかった
急いで『ころん』と調べ
すとぷりを知った
そして
そのメンバーと色紙の名前とを
示し合わせ
少なくともメンバーを完璧に覚えるまでは
努力し続けた
看護師さんにお願いして
起きてから、初めての面会まで
どうにか言い訳をしてもらって
メンバーに「初めて」会って
実際の顔、雰囲気と比べて
僕は、元から知ってるかのように接した
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!