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第3話

私の利用価値
216
2023/08/17 11:07
私はあの時逃げるべきだったのだ

公安に関わるべきじゃなかった、、
後悔する事になるのはそう遠い未来ではなかったみたいだ
コンコンコン、、
MOB
、、失礼します
生まれて初めて見る様な暗く冷たい廊下

なんだかまるで監獄のよう、、

私を連れてきた黒スーツの人は重々しいドアのある部屋を静かにノックし入った
会長
、、、よく来てくれたわね
(なまえ)
あなた
、、、
部屋の中はだだっ広い空間が広がっており、真ん中にさっきの人と比べ物にならないくらいの威圧感のある女の人が立たずんでいた、、

1面窓張りで広く開放感のあるはずの部屋なのに、何故かとても息苦しくて気持ち悪かった
会長
改めて、初めまして"筒美 火伊里"ちゃん
文面を見ると優しいように見えるけど、この人の声、表情からはとてもそんな風には思えなかった
筒美 追見
っな、、!火伊里、、?!!
何故、、!!
(なまえ)
あなた
え、、なんで、、爺ちゃん、?
中央のローテーブルの横に座っていたのは、
ここにいるはずの無い、爺ちゃんだった

爺ちゃんは絶望と驚きの目でこちらを見て はっとしたように再び目の前の女の人を睨んだ
筒美 追見
おい、どういう事だ、、!!
何故火伊里を連れてきた!!
会長
本人に意思確認をする為です、我々は優秀なヒーローになる手伝いをしたいのです。
火伊里ちゃんは天賦の才を持っています、その力は是非人助けに使うべきです
筒美 追見
はっ!そりゃそうだろう、あの子はお前らが使い潰しやがった優秀なレディ・ナガンの娘だからな!!
ホークス
ホークス
、、、!
顔色一つ変えず淡々と喋る女の人に爺ちゃんは軽蔑するように怒鳴った

レディ・ナガン、、??娘って、、?
何がどうなってるの、、
筒美 追見
この子は火伊那の遺した大事な娘だ!
自分の様にならないように、お前らと関わらせない様に儂らに託した、、
筒美 追見
そんな子をお前らに渡すと思うか!?
優秀なヒーローだと?そりゃお前らの優秀な駒の間違えじゃねぇのか!
会長
、、、あるべき才能は、正しい使い方をしなければなりません
それに、彼女はどうなのかは彼女が決める事です
会長
さて、貴方はどうしたいですか?
筒美火伊里さん、、
突きつけるような女の人の声は私の頭の中でぐるぐると回っていた

こんな所に居たくない、こんなに冷たい人が憧れのヒーローにしてくれるとは思えない
今すぐ爺ちゃんと一緒に帰りたい
帰ってご飯食べて、、立派な猟師になって、、、

キッと上を向くと会長は静かに微笑み、後ろの部下は袂(たもと)の黒く冷たいソレに指をかけた、、

あぁ、ダメだ、、、コレは、、

私に選択肢なんか無い、
私が逃げれば爺ちゃんも周りの人もタダじゃ済まない 殺されるかもしれない


(なまえ)
あなた
、、、私
私は生まれてからずっと育ててくれた爺ちゃんを1番大事に思ってるし
なるべく長く幸せに生きて欲しいとずっと思ってる、、
それには私が爺ちゃんと離れれば良いだけ

でもなんで、、、なんでこんなに苦しくて一緒に居たいって思っちゃうんだろう、、!
筒美 追見
火伊里、俺の事は考えねでい、自分の気持ぢに正直になれ、、
うん、、わかってるよ、爺ちゃん、、

私の一番の思いを優先するよ

静かに目を開け掠れた声を飲み込み、目の前の女の人を真っ直ぐ見据える
(なまえ)
あなた
、、私は人を救えるヒーローになりたいです この個性が皆のためになるのなら、喜んで捧げます
そうだ、私は人を救えるヒーローになるんだ

自分の我儘で大切な人を傷つけるなんて絶対ダメだ

唖然とした爺ちゃんと少し驚いた様な顔をした女の人、私をじっと見つめるホークス、黒いスーツの人達、、

その中で私は静かに頭を下げた、、
(なまえ)
あなた
どうか、、よろしくお願いします、、
心はなぜだか穏やかだった、、覚悟は決めた諦めた
ヒーローになってやる、、皆が普通に暮らせるように、私みたいな子を増やさない為に、、!
筒美 追見
っ火伊里、、!?!なんで、、!!
(なまえ)
あなた
爺ちゃん、ずっとずっと本当にありがとう親無しで色々迷惑かけてごめんなさい、、
筒美 追見
迷惑だきゃひとづもすてね!!
静かに微笑む私を必死な顔で苦しそうに声を遮る、、

ごめん、爺ちゃん、、これが私の願いだから、、

どうか、、どうか幸せに生きてね、、
(なまえ)
あなた
私絶対立派なヒーローになるから、、夢を叶えて見せるから!爺ちゃんにも負けない狙撃手になって見せるよ!笑
目の奥の熱いものを必死で留めてニヤッと笑った
最後なんだもん、、最後くらい笑っていたいよ
筒美 追見
、、、、クソッ、!!火伊里、ヒーローになるなら、普通に、、!
(なまえ)
あなた
ここで勉強したらもっと強くなって人の役にたてるんだよ!私頑張りたい!!
次は私が爺ちゃんの言葉を遮った

お願い、決めたんだよ、、こう生きるヒーローになるって、、
会長
、、分かったわ、火伊里ちゃん
ではこちらで今日よりヒーローとして育成をしていきます。ご家族の方々との関係を絶って頂き、こちらでの全面支援をお約束します。
関係をタツ?、、、多分、、爺ちゃんとは会えなくなるって事だろうな、、

ゼンメンシエン、、
筒美 追見
関係を、、、絶つ、、??あの子ナガンの時でも会えていたはずだ、、!!何故、、!
会長
完全にこれまでの"人間関係を切り離す"という事です。ヒーローになった後、素性を辿られでもしたら彼女に関わった人達全てが危険に晒される事となります。
会長
そのため、新たにヒーローとしての人生を構築するのに必要不可欠なのです。
ホークス
ホークス
っ、、、!!
筒美 追見
普通のヒーローだったら素性晒しているやつが殆どだろう!火伊里は"普通"のヒーローになるんだろ??
、、まさか
何故かホークスの手が私の手を強く握りしめ、爺ちゃんと彼は苦虫を噛み潰したような顔をして会長を見た、、
会長
、、いいえ、彼女は"特別"なヒーローになれます
筒美 追見
、、、、、おい、まさか、、"また"繰り返すのか、、??
爺ちゃんの顔は怒りと言うより、青ざめていた、、

口元を抑え目を見開いていた、、

また、、?またって何だろう、、?

静まりかえった室内にはリズム正しく響く時計の針の動く小さな音が不気味な程大きく響いていた、、

女の人は溜息をひとつ付くとまだ小さな私の方へ目を向ける

この人の内には恐ろしいバケモノが住んでいる、、
そんな野性的感を感じられずにはいられなかった、、
会長
それじゃ、、とにかく今日からここで生活するの、明日細かな説明をするわ、、
筒美 追見
ちょっと、、!!!
黒いスーツの人達に誘導されて部屋から連れ出されそうになった私を爺ちゃんは必死に引き止めた、、

爺ちゃん、、こんなに大切に思ってくれるなんて、一生の幸せだなぁ、、、
こんないい人には幸せになって、、貰いたい

再び出そうになった弱音を噛み殺し、笑顔で爺ちゃんの方へ振り向いた、、

、、笑おう、この人に見せられる最期の私筒美 火伊里なんだから、、!

(なまえ)
あなた
爺ちゃん、ありがとう!、、それからさようなら、、!笑
筒美 追見
、、、火伊里、、!!
爺ちゃんは私の笑顔に絶望したような、切ない様な、、苦しげな顔をした、、

笑えたよね、、大丈夫、、これでもう、、
うん、、大丈夫、、、

大粒の涙が零れない内に、出ていこう、、
会長
ホークス、貴方は少し残って頂戴
ホークス
ホークス
、、、、分かりました
筒美 追見
っクソ、、、
私と爺ちゃんはそれぞれ長く暗い廊下を反対の方向へ連れて行かれた、、

先は暗くて見えなかった、人生の道も、、何もかも、、
バタン、、、
ホークス
ホークス
、、、で、要件は何です?
会長
あら、いつにも増して態度が悪いのね。トップヒーローとして態度は改なさい
クソ、、何が態度だ、、

そりゃ不機嫌にもなるだろ
俺は普段と打って変わった様な鋭い眼光を目の前の女、、公安委員会会長に向けた
ホークス
ホークス
あの子にも、、彼女ナガンの様な末路を辿らせるつもりですか、、??
会長
いいえ、反逆などさせないわ。小さいうちから教育を施す事が出来れば、、
ホークス
ホークス
違います!!あの子にも、、先輩の様に"仕事"をさせるんですか、、??俺と同じように、、!!訓練させるんですか??
ギリっと歯を鳴らし先程まで彼女の小さな手があった自分の手のひらを握り締めた、、

あの子は、、逃げれば公安があのお爺さんに何かするのを理解したように静かに従った、、!
(なまえ)
あなた
、、私は人を救えるヒーローになりたいです この個性が皆のためになるのなら、喜んで捧げます、、
は、、?

これが俺の正直な感想だった
さっきまで目の前の親代りのお爺さんに飛び込んで行きたい様に必死に目線を送っていたというのに、、

(なまえ)
あなた
どうか、よろしくお願いします、、
彼女は頭を下げた、、

まだ年端もいかない女の子がだ
親と離される、親元に二度と帰れないという事を全て、、悟ったような表情で、、
彼女の手は震えている

自分が保護された時と幾つも変わらぬ歳の子だろう、、なのに、何故か、、まるで大人と会話しているような、、奇妙さと切なさを感じて止まなかった
(なまえ)
あなた
ここで勉強したらもっと強くなって、人の役に立てるんだよ!私、頑張りたい!!
ホークス
ホークス
、、、
彼女の笑った顔、、一見無邪気なのに、、
何故だか、、凄く悲しく泣いた子供の様な目に見えてしまった
(なまえ)
あなた
爺ちゃん、ありがとう、、!!それから、さようなら!笑
彼女の最後に残した顔は、やっぱり笑顔だった、、少し切ない感情を滲ませた笑顔には彼女の真っ暗な未来を嫌でも想像させられる、、
同じ笑顔だ、、彼女と、、タルタロスの彼女と同じ

何で、、、何でまた、、これじゃ俺と、、
ホークス
ホークス
、、、俺は、"俺が穢れて皆が笑える為"ならどんな事もやります。だけど、、誰かが貴方達公安のせいで穢れるのはダメだ、、!!
会長
、、社会の平和の為には犠牲は伴う物よ。
それに、貴方の負担を減らす為でもあるのだから、、
ホークス
ホークス
負担なんか無か!!あの子に同じ事をやらせるつもりですか、、!?あんな小さな子に、、
会長の淡々とした言葉に対し俺は怒りと悲痛な声を隠せずにいた、、
会長
あの子はもう7歳よ。貴方が保護されたのも7歳だったでしょう。それに、既にプロ顔負けに個性を扱えるそうよ、、
俺が保護されたのは、、"ヒーローになりたかったから"父も母もぶっ壊れてたからヒーローになれる環境を与えて貰えるなんて夢のような願ってもないチャンスだった

だけど彼女は違う、、親が、、"母親が直属ヒーローだったから"公安に目をつけられた、、
"個性が最強のスナイパー"というのを知られてしまったから連れられた、、!!

あの子は望みもしない環境へ放り込まれるのを、祖父母の身を案じる為に我慢した、、
たった一つの居場所で、たった一人の親の様な人だったのに、、
ホークス
ホークス
俺が、、もっと働きます、、だから、!彼女を家へ帰してやって下さい、!!
会長
いいえ、出来ないわ。
彼女は貴方の"後釜"だもの
ホークス
ホークス
っ、、!!
後釜、俺がナガンの、先輩の後釜だった様に、、あの子は俺に何かあった時の代用品として育てられるという事だ、、

クソ、、何がヒーローだ、、今まさに1人の女の子の未来が犯されようとしているのに、、
俺は何も、、

自分の無力さに腹が立った、世間では最年少のトップ3の実力者だが彼はこの人に逆らえず従うしかない無力さに絶望していた
会長
話は以上よ、、頼むわよ、ホークス
ホークス
ホークス
、、了解、、です
ガチャ、、、
ホークス
ホークス
、、、はぁ、、
どす黒い大人の意図を吐き出すように息を吐き目の前の自販機に歩いていく

会長室を出ればいつもの暗い冷たい廊下、、


、、では無かった
ホークス
ホークス
え、
(なまえ)
あなた
あ、、
そこに居たのは美しいマーブルの髪を揺らした彼女だった、、
ホークス
ホークス
、、あれ、、火伊里ちゃん??あの黒いスーツの人達と一緒に行ったんじゃ、、?
(なまえ)
あなた
えっと、、その、、すみません、ホークスさんを待ってました、、
問い詰めるとバツが悪そうな顔をして手を弄り始めた、、

何やら俺を待っていてくれのか、、?何で、、
(なまえ)
あなた
その、、お礼が言いたくて、、
ホークス
ホークス
お礼、、?俺に、、??
しゃがんで彼女に目線を合わせると彼女はほっぺたをほんのり赤くして優しく微笑んだ
(なまえ)
あなた
私、、の事"ヴィランの子"って気味悪がらずに話しかけてくれたの初めてで、、!嬉しかったです、ありがとうございました、、!
ホークス
ホークス
、、、いやいや人として当たり前の事をしただけだよ笑
あぁ、彼女が今まで他人にどんな扱いを受けてきたのか想像出来てしまう、、

ヴィランの子だと、母親似の容姿で感ずかれてしまったんだろう。
当たり前に接される事が彼女にとって感謝する程のものなのか、、
ホークス
ホークス
そうだ、良ければ何か飲まない?
ジュースは少しだけどあるよ笑!
(なまえ)
あなた
、、はい!是非っ!
俺がそう提案すると彼女は年相応にそう笑った
さっきの笑顔とは違う、、くしゃっとした笑顔で笑った、、目元の涙の後が霞むくらいには
ピッ、、!
ホークス
ホークス
火伊里ちゃんは何飲む〜?
自分はいつものゲロ甘コーヒーをポチりながら青白く光る自販機の数少ないジュースの段を眺めて聞いた

相変わらずコーヒーとエナドリばっかだな、、
流石社畜の宝庫、、、笑
ピッ、、!ガシャン、、
(なまえ)
あなた
お気に入りのこれで、、!
そう言って勢い良く押されたボタンは軽快な音が鳴って直ぐにガシャンと下の方から音がした、、
(なまえ)
あなた
あったかい、、//
そう言った彼女の手に握られているのは"コーヒー"そう、コーヒーだ。しかもブラックの、、、
ホークス
ホークス
え、、???コーヒーだよ、、?しかもブラック、、大丈夫、、??
(なまえ)
あなた
あ、はい!心配ご無用です
私飲めますので、、
あはっと笑ってコーヒーを揺らした彼女は
7歳、、そう、Seven years old、、

え、今の子ブラック飲むの??小学生ってコーヒー嗜むお年頃なのかな??←(違います)
(なまえ)
あなた
苦いコーヒー飲んでると、引き締まるんですよね、、
彼女がふぅ、と息を着くとコーヒーのいい香りが鼻をかすめた

苦い苦いコーヒーを飲む彼女の小さな背中がどこか酷く孤独なように見えた
ホークスさんに買ってもらった苦いコーヒー
この味が好きな訳じゃなかった。

だって舌が痺れるくらい喉に絡みつく苦味のあるコーヒーだったから。

だけどこれを飲むと甘えだったり、自分の弱い部分を塗りつぶす事が出来るから、、

寂しいとか思ってしまった時には狂ったように飲んでいた、、
爺ちゃんは止めなかった。いや、止められなかったんじゃないかな。
ある意味私はこれに依存してたから、、
ホークス
ホークス
、、火伊里ちゃんはさ、何か好きなのとかある?
彼は少し俯いていた私に気がついたのだろう、明るくそう聞いてきた
(なまえ)
あなた
、、、家族、、です
ホークス
ホークス
そっか、君のお爺さん凄くいい人だもんね。君を本当に大切に思ってらっしゃる、、
脈絡無く爺ちゃんを褒められて自分の事じゃなくても少し喜ばしくなり頬が緩んだ
(なまえ)
あなた
本当に、、感謝してます、、笑 少ない家族だけど、私を受け入れてくれた、、大事な人です。
ホークス
ホークス
そう笑、大事なんだね、、ニコッ
ホークスもいつもの笑顔じゃなく穏やかな表情を浮かべて甘いコーヒーをすすっていた、、

しかし、、どこか気を使ってる感じ、、、
最初から思っていた違和感を直接聞いてみる事にした







(なまえ)
あなた
、、、あの、、間違ってたらすみません、、親の事を聞きたいんですよね、、?
ホークス
ホークス
、、え、
私が少し歯切れが悪くそう言うと彼は呆気にとられたような、驚いたような顔をして私を凝視した後 少し俯いてしまった、、
(なまえ)
あなた
私、大丈夫ですよ 気を使って頂いたのは嬉しいんですけど、、ホークスさんもお仕事でしょうし、、
きっとあのおばさ((ん"ん"女の人に言われて
親の事、情報を聞き出すように言われたんじゃないかな、、

ホークスさんは再び申し訳ない、と言ったような顔を浮かべた為勝手にすみません、と反射で謝ると いやいやこちらこそと更に申し訳なさそうなそうな顔をした
ホークス
ホークス
、、ごめんね、ホント、、
、、謝って欲しい訳じゃないし、ホークスさんになら普通に話すのに、、
(なまえ)
あなた
母は、、正直あんまり覚えてません。生まれたばっかりで雰囲気程度しか覚えてないんですが凄く優しい顔をしてた、、気がします。
ぽつぽつと話し始めた私の小さな声をホークスさんは静かに聞いていた、、
(なまえ)
あなた
そんな人がヴィランになるだなんて、全然想像出来なかったです、、
少ない記憶の中でも、母は私に優しく笑っていた。あんな人がヴィランだなんて絶対おかしいって思っていたけど

優しいからこそ、、ヴィランになってしまったんじゃないかって思ったりもした
ホークス
ホークス
、、、そうだね、俺もだ。
ホークスさんは目を細めてどこか寂しげな顔をしていた、、
(なまえ)
あなた
母を、、知ってるんですか、、?
ホークス
ホークス
、、うん、記事で見た。直接会ったことは無いけど誰より平和を願ってヒーローをしていたよ、、
(なまえ)
あなた
そう、、ですか、、初めてです、そんな事言ってくれる人、、
私の母を知っている人達はみんな"怯えて逃げる"か、"貶して虐める"っていう2択しか見た事が無かった。

ましてヒーローとして見てくれる人なんて会ったことがない。
爺ちゃんから聞いた母がヒーローだと言う忘れかけていた記憶が鮮明に蘇った
ホークス
ホークス
じゃあ、、君のお父さんは、、?
沈黙を破るようにホークスさんが聞いた


ドクンッ!!!!!

お父さん、、言葉を聞いた瞬間、全身の血液がスっと抜かれたようになり、心臓がバクバクと嫌な音を立てた
(なまえ)
あなた
、、、あっ、、
苦しい、、息が詰まってる、、!!
どうして喋れないの、、?息が吐けない、、

落ち着いて、、落ち着かなきゃ、
ちゃんと、、ちゃんと話さないと、!!
ホークス
ホークス
、、、火伊里ちゃん、、大丈夫、、!?!
(なまえ)
あなた
は、、はい、、すみません、、あっあの、、えっと、、っハァッご、ごめんなさい、、えっと、
落ち着いて、、話さないと、、っ、、

ゆっくり、、普通に喋らないと、!!

ごめんなさい、ちゃんと話すから、、!!
だから、、だから、、
ホークス
ホークス
、、大丈夫だよ、、ゆっくり息を吸って、、
私の震えた背中をゆっくりさすって優しく声をかけてくれた、、

ああああっ、、どうしよう、、どうしよう、、

ごめんなさい、ごめんなさい、、普通にならなきゃ、!!普通に、、じゃないと、また、、また、、!!
(なまえ)
あなた
すいません、、お願いします、、どうか許して下さい、、泣
ホークス
ホークス
、、!!
ホークス
ホークス
(、、っなんだ、、コレ、、物凄く怯えてる、、?しかも震えてる、、まさか、、)
冷たく奇妙な汗が頬を使って必死に頭を下げた。

泣いたらダメだ、殴られる
お願いしたらダメだ、蹴られる
謝らないとダメだ、突き飛ばされる
普通でいなきゃダメだ、水に沈められる
うるさくしちゃダメだ、閉じ込められる

まだ消えない身体じゅうの古傷がジンジンと再び痛み出して体は悲鳴を上げそうだった、、

それでも黙って頭を下げた、、
(なまえ)
あなた
、、殺さないで、、下さい、、
絞り出した様な声は、先程までの可愛らしい少女の面影も無く、、ただ殺さないで、と懇願する子供の悲痛な声だった、、
ホークス
ホークス
、、、ッ大丈夫、、誰も君を傷付けないから、、!
震えてやまない小さな体を抱きしめて背中をトントンとさする、、
ホークス
ホークス
(、、なるほど、、父親が、、この子も虐待児、、)
(なまえ)
あなた
、、、蹴られてない、、?
バクバクと音を立てている心臓を落ち着かせ今だ痛みを感じていない体に気づいた、、

あぁ、そうか、、この人、ホークスだった、、


そうだ、アイツじゃない、、、

そう分かると一気に冷静になって震えも冷や汗も鼓動も落ち着いた
(なまえ)
あなた
、、、すいません、間違えました、、ホークスでしたね!
顔を上げごめんなさいと眉を下げて謝った

ホークス
ホークス
、、、大丈夫かい、?
凄く不安げで切なそうな顔をするホークス、
あんまり人に話してもいい良い話じゃないんだけど、、このままじゃ失礼だし、、

(なまえ)
あなた
すいません、大丈夫です
(なまえ)
あなた
私、生まれてから爺ちゃんに引き取られてたんですけどある時爺ちゃん身体壊して入院してたんです。
ポツリ、ポツリとどこかに封じ込めた昔の記憶の蓋を開ける、、
(なまえ)
あなた
それで3才くらいから私のホントのお父さんの所に住んでたんです。婆ちゃんもまだ仕事してましたから、、
(なまえ)
あなた
、、初めて会ったお父さんは、他の人の前ではとても優しかったんです。ご飯もくれたし、笑顔だったし、、

霞んでいた父の優しかった記憶、それで私は勘違いしてしまったんだろう、、

"良いお父さん"だって
(なまえ)
あなた
、、、でもお父さんは家に帰ってから、ずっと怒ってました。、、私がヴィランの子供だから
愛していた人、、かは分からないけど、、

妻がヴィランになって、見た目も個性もそっくりな"ヴィランの子供"を押し付けられた

父はそれに耐えられなかったんだろうな、、

変わり果てた父、、自分の仕事、人生にヴィランの家族がいるというのは邪魔で仕方無かったんだと思う

でもどこかに捨てる訳にも行かない、そんな事したら自分の経歴に傷が入るっていつも叫んでた気がする、、
(なまえ)
あなた
捨てられなかったけれど、、お父さんはご飯をくれなくなった、、それから毎日私を殴ったり、蹴飛ばしたり、、叫んでました
あのころはお腹すいて近くの川で草をとったり食べられるかも分からない魚を食べて何とか生きていた

でもお腹すいてたまらない時は商店街のおばさんから、残ったおかずを貰ってた

だけど他の人に私が見られてはいけないと父は帰ってからさらに殴った、、、

痛かった
(なまえ)
あなた
5歳の時から、お父さんは私を殺そうと必死でした。大きくなると更に邪魔だそうです
ホークス
ホークス
、、、っ
(なまえ)
あなた
殴られるのも蹴られるのも我慢できるんですけど、お風呂に沈められたり、タオルで口を塞がれたり、ハサミで刺されそうになったり
1回捕まって首を絞められた時は本当に死ぬかと思った、、

本当に死ななかったのは奇跡だな、、

ふとホークスの方を見ると彼は絶句したような、絶望したような、恐怖の顔をしていた、、
(なまえ)
あなた
、、、ホークスさん、、?
ホークス
ホークス
、、、あ、、うん、、ごめんね、、
私の呼びかけにはっとしたように笑顔を作るとまた、切なそうな顔をして私の頭を撫でた、、
(なまえ)
あなた
、、、それで、殺されたくなかったので、逃げました。爺ちゃんの病院へ何とか行ったら助かって、今まで世話してもらってたんです。
(なまえ)
あなた
結局、お父さんはケイサツの人が家を調べてもどこかへ逃げちゃったみたいなんですけどね、、(笑)


ホークス
ホークス
、、、何で笑えるの、、?こんなに、、ッ
私が困りますよねー、と笑うとホークスは俯いてそう零した、、

(なまえ)
あなた
うーん、、でもその後爺ちゃんと居れたから幸せだったし、、
(なまえ)
あなた
お父さんの事、、今まで忘れてたから、、いや、もちろん今も怖いんですけど、、
お父さんのことは多分死ぬまで忘れないと思う
だけど正直、もう諦めてたのかもしれない

あぁ、この人は殺してくる殺人者だって、、
(なまえ)
あなた
もう何も期待してないし、お父さんは私を殺したいほど嫌いなんだなって思ったら何だかどうでも良くなっちゃって、、
(なまえ)
あなた
それなのに今でもお父さんが怖いって思っちゃうので、何だか良く分からないんですよね(笑)


ホークス
ホークス
、、、そっか、、
ホークスはまた悲しそうな顔をして、、何故か思い懐かしむ様な、、そんな顔をした

悲しそう、、辛そうに、、まるで昔の事を思い出す時の様な、、





昔の事のように、、?何で?他の人はこの話聞くと痛ましいモノを見るような目で見てくるのに、、


それにずっと思ってた、、この人、、




いや、聞いちゃいけないかもしれない
人には思い出したくない思い出もあるって私が1番知ってるから

、、それでも苦しそうに見えた、この人の顔が

なぜか見なかった事にしたくないと思ってしまった
(なまえ)
あなた
、、、あの、私、大事なのは今だと思うんです。昔に辛くて嫌な事があったとしても私たちが生きてるのは今なんです!
(なまえ)
あなた
たまには思い返さんといけないこともあるかもしれんけど、、でも!今いる世界で精一杯やりたいって思ってます!
自分に、、彼に言い聞かせるように必死に言葉を探した

昔何があったか知らないけれど、悲しい事があった人の顔だった

どれだけ頑張って繕っても私が"ヴィランの子"なのは消えない、、

だから今どうするかを考える事が私に出来る精一杯だった

暖かいコーヒーを飲んでいたはずのホークスの冷たい手を小さな手でぎゅっと握って藤色の瞳を彼の暗い琥珀の瞳に映した
(なまえ)
あなた
だからお兄さん!悲しゅうなったらうちがぎゅっとするけん、助けに来るけんね!!
ホークス
ホークス
、、!
驚いた様な顔をした彼を笑って手をさすさすするとなお驚いた様な顔をした

だけど今のは優しい驚いた顔だったな、、
ホークス
ホークス
、、俺、悲しい顔してた、??
(なまえ)
あなた
、、うん、寂しそうな感じがしとった、、
ホークス
ホークス
そ、、う、、ってかお兄さん、、?俺の事お兄さんって言った、?
(なまえ)
あなた
うん、だってもうお仕事終わっとう。ホークスや無くてお兄さんやろ?お名前分からんから、、ごめんなさい
何でか分からないけれど無意識にそう呼んでいた、、

嫌だったかな、、?でもずーっとヒーローでおるのって大変やし、、

ダメだったかな、、とバツが悪そうにホークスの方を見ると彼は、、
ホークス
ホークス
っふははっ!(笑)そっかw!確かにねw!
、、爆笑していた ツボがよく分からん人だな、、なんかちょっと不気味、、

そんな気持ちとは裏腹にホークスは私の頭を元気よくわしゃわしゃって撫でた

それじゃお願いしますね、ヒーロー!(笑)
って笑ってぬるまってしまったコーヒーを飲み干していた

でも元気になったなら良いか、、(?)

うーん、よく分かんない人だなーと頭を捻りながらも私もまだ少し暖かいコーヒーをコクコクと飲んだ


ホークス
ホークス
ってか火伊里ちゃん、何で博多弁なの?
飲み干したコーヒーの缶をプラプラと弄びながら彼は聞いてきた
(なまえ)
あなた
私のおばぁちゃんが九州出身で、、結構いつも喋ってるので、、
ホークス
ホークス
へぇ〜!実は俺も九州出身なんだよね(笑)
彼はイタズラっぽくそう笑った
(なまえ)
あなた
え!そうなんですか!でも訛りあんま聞いた事ないですね、、
ホークス
ホークス
普段は標準語で喋っとるけん(笑)
(なまえ)
あなた
訛ると皆に変なのって言われるけん、、なんか不思議、、
ホークス
ホークス
えー?別に変じゃなか(笑)まぁこっちじゃあんまり見んけどね〜

(なまえ)
あなた
私、ただでさえあだ名がさつまいもやのに、、さらに変な言葉喋るけんあだ名変なさつまいもになったんよね、、
ホークス
ホークス
さつまいも、、???
(なまえ)
あなた
髪の毛が紫と黄色やけん、、さつまいも、、
我ながら酷いと思う、、女の子に向かってさつまいも、、
(なまえ)
あなた
さつまいも食べよーと共食いって言われるし、、
ホントどこがさつまいもだって言うんだよ、、!髪の毛だけやろ!?
ホークス
ホークス
酷かね〜、、でも俺も鶏肉好きやけんよく共食いって言われる(笑)
ははっと苦笑いしながら後ろの羽をパタパタと羽ばたかせた

ホークスは鳥じゃないのにな〜、、
(なまえ)
あなた
あ、そう言えば!ヒーロー展示会でお姉さんがホークスに伝えてって言っとった事あった!
(なまえ)
あなた
握手出来んの子供だけやけん、、私に伝えてって、、なんか『私のTEL番、、この後裏で待ってるわ♡愛しのマイハニー♡♡』って、、
ホークス
ホークス
ッぶっッッッ!!
困惑した顔で声色を真似私が伝えると何故かホークスは吹き出してゴホゴホッと咳き込んでいた、、
(なまえ)
あなた
あ、もっとハートが付いとる感じで、、『マイハニー♡♡♡♡♡』って感じやったかも、、
ホークス
ホークス
ぶはッッッッ!!wwww
(なまえ)
あなた
ほ、ほーくす、、?大丈夫、、?
再び吹き出す彼をホントに心配して覗き込むとクックックと笑いながら私の方を向き答えた
ホークス
ホークス
それ誰?w俺の知っとー人かな?ww
(なまえ)
あなた
いや、、なんか自分で『私みたいな美少女彼がほっとく訳ないわ♡』って、、少女なんやろか、、なんか悪魔ん顔で笑いよったけど、、
彼女の顔を思い出しながらうーんと首を捻ると更にホークスは爆笑していた、、


でも色んな人がホークスホークスって言っとったし、、人気なんやね
(なまえ)
あなた
ホークスってモテるんやね、、皆イケメンさんやって騒いどったよ!
ホークス
ホークス
え〜、それは嬉しかね〜(笑)!じゃあ火伊里ちゃんの好きな人はどげん人〜?
さっきとは違うニヤニヤとした笑顔でこちらを見てきた、、

好きな人か、、
(なまえ)
あなた
うーん、、爺ちゃんとか、、エンデヴァーさんみたいな背中で語る人!!
爺ちゃんはともかく最近知ったエンデヴァーさんの様な無口だけど強い男らしい人結構好きだなぁー、、、
ホークス
ホークス
!俺もエンデヴァーさん尊敬しとーよ!(笑)かっこよかよね〜
私がそう答えると子供のようにパッと明るくなったホークスはキラキラと目を輝かせた
ホークス
ホークス
じゃあ好きなヒーローもエンデヴァーさん?
ひとしきりエンデヴァーさんのかっこよさについて話した後ちょっと寂しげにホークスはそう聞いてきた、、
(なまえ)
あなた
え、ホークスやよ、、?私のヒーローはずっとホークスやけん!
ホークス
ホークス
!!!え〜!嬉し〜(笑)!火伊里ちゃんみたいな可愛い女の子に推されてるなんて嬉しか〜 
きゃ〜とわざとらしく叫んだホークスだけどその顔はどこか嬉しそうだった、、
(なまえ)
あなた
知っとう?"罪な男は女に刺される"って婆ちゃん言っとった、、お兄さん、気おつけてね、、?
ホークス
ホークス
ウワー、めっちゃ刺さる、、(笑)気をつけまーす
ピシッと敬礼したホークスはクシャッと笑ってまた頭を撫でた、、

子供の私でも分かる、、こん人罪なオトコ?なんやなーって、、
(なまえ)
あなた
あぁ、お兄さんみたいな人がお父さんやったら良かとに、、
彼の撫でる手を見てボソッと呟いてしまった
ホークス
ホークス
、、、え?
あ、やばい 変な事、、
(なまえ)
あなた
ごめんなさいっ!あの、、!間違えて!!変な事言ってしまった、、!
(なまえ)
あなた
かにな!気にすねでけね!コーヒーどうも!おやすみなさい!!
何やらすみませんと口走ってスーツの人が言っていた場所まで急いで走って帰った、、

ホークス
ホークス
え、ちょっと、、?!火伊里ちゃん、?!
ホークスが何か呼び止めていたが既に走り出していた私は振り返る事がなかった、、





ホークス
ホークス
、、お父さん、、か、、
ホークスのそんな静かな声が廊下に響いただけだった、、



ホークス
ホークス
(、、俺、お父さん、、かぁ、、)

そう心の中で再度呟いたホークスの顔はほんのすこし緩んでいましたとさ、、

ここまで読んでいただきありがとうございました!
申し遅れました、おつりちゃんです!

ぜひ♡と☆貰えたら嬉しくて投稿頻度上げちゃいます!!よろしくお願いしますー!!

後『最強ヒーローの少女はNo.2の娘さん』っていう小説もあるので是非よろしくお願いします!ぜひ下のアカウントから飛んでください!

では!バイ!!

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