季節は春の終わりから初夏へ変わり始めていた
再開してから、今日で2ヶ月がたった。
その日、あなたと秀哉は仕事終わりに
川沿いを歩いていた。
秀哉が手すりに持たれながら言う
小さく頷く
あの頃は隣に居るだけで精一杯だったから
好きだなんて、到底言えるはず無かった。
2人の間に静かな沈黙が落ちる
不思議と嫌じゃない
むしろ心地いい
秀哉が名前を呼ぶ
いつもより真剣な声で
そこで言葉が止まる
珍しく迷っている様子だ
あなたの心臓の音が強く鳴る
夕方特有の風が吹いて
髪が靡く
秀哉は笑った。
けどその目はいつも以上に真剣な表情で
秀哉は視線を空へ向ける
秀哉がまっすぐあなたを見る
逃げ場がないくらいに
あなたの指先が震える
秀哉は少し照れたように行った
1度深呼吸をして
行った
世界が止まった気がした
ずっと聞きたかった言葉
夢みたいだ
私の私だけの片思いなんかじゃなかった
秀哉は少し困ったように笑う
その声に思わず笑ってしまう
目の奥が熱い
声が震える
秀哉が目を見開く
数秒の沈黙
それから秀哉が手で顔を覆った
本気で悔しそうな顔
そんな顔に思わず吹き出してしまう
秀哉もそれにつられて笑う
夕焼けの中
6年越しの思いが
ようやく同じ場所にたどり着いた。
そして秀哉が言った
その返事だけで十分だった。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!