USBをパソコンに挿しこみ、ファイルを開く
司の家族や幼馴染ぐらいしか知らないであろう幼少期の写真に思わず声に出てしまう
スマホに繋がったコードをパソコンに繋げ、転送画面を開く
転送している間に類はバックに様々な道具を入れる
そうルンルンと考えながらショーの道具をせっせと入れる
ピコンッと転送完了の音が鳴る
コードを抜き、スマホに転送できたかを確認する
その流れで幼い頃の写真をホーム画面の壁紙にする
小さく深呼吸をつく
バックを持ち、類は外へと出た
〜 大通り 〜
ガヤガヤガヤ
口元だけ見えるキツネの仮面をつけ、フードも被り、完全に見た目がわからない格好をした類
パチパチパチパチ
ショーは終わり、その度に感謝などを言いに来てくれる人に対応する類
終わってからある程度時間が経つと、どんどん人の姿はなくなってく
のびーっと体を伸ばす類
そう考えながら片付けをしていると
背後から声をかけてきた人がいた
聞き覚えのある声が類の耳に入っていく
それは毎日聞いていて、愛おしい声
早く確認したいという想いを落ち着かせゆっくり後ろを向く
予想していた通り、そこには司がいた
そう。類は予想していたのだが...
バチンッと思いっきり自分の頬を叩く類
嬉しさと驚きのせいで言葉が出ずただ口がパクパクと動いた状態でいる
思わず声が裏返ってしまう
ホッと息を吐き胸を撫で下ろす司
その様子を未だ驚きながら瞳孔を開いた状態で凝視する類
〜 類宅 〜
ドサッと大切な道具が入ってるはずのバックをベットの上に投げる
キッチンへふらふらと歩いて行き、コーヒを淹れようとお湯をカップに入れようとする
そして手にこぼす
それによってようやくハッとする類
先程までの類は心を無心にして冷静を装っていた
だがらこそ、今になってピシャーーンッッッッと司と関わったことを雷に打たれたかのように実感する
ドタドタドタと部屋の中を駆け回る20代児
あの、全て声に出てますよ...
バタッ
嘘でしょあまりにも興奮しすぎて寝ちゃったよこの方
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。