HAO side
「ハンビン君、付き合ってる子がいるんだって…」
そう聞いた途端、僕の頭は真っ白に染まった。
ハンビナに付き合ってる子がいる。その事実が僕の胸をきつく縛りつける。僕の特権の、幼馴染というポジションは無くなったもの同然だ。
誰のものでもなかったハンビンが、一人の恋人になった。
ぼんやり過ごしているといつのまにかお昼の時間になっていた。お昼はいつもハンビナと食べるんだ。
だけど、今日は楽しみとは言えなかった。ハンビンと会うことにドキドキしている。あの顔を近くで直接みて、話すことが今はできそうにない。
そんなことを考えていたら、スマホから通知オンが鳴る。
ハンビンからだった。
(ハンビン)
「まだーー??屋上で待ってるよ☺️」
文字から感じられる、呑気な感じが、今は少しイラッときた。
だけど、好きな子とはやっぱり喋りたいから鉛のように重い足を動かして屋上へ向かう。
屋上へ、やっとの思いで着いてドアを開けると、ハンビンは誰かと話している様子だった。すごく楽しそうで、心がもやもやする。
その子は、ハンビナに隠れてみえなくて、僕はほんのちょっぴりの好奇心で、近寄ってみた。
顔が見えた瞬間、僕は心が崩れる音がした。
ハンビナと付き合ってるって噂の女の子だったんだ。
その子と、話してるハンビンは楽しそうで、僕の心臓はどんどん早まっていく。
あぁ。ほんとだったんだ。目の前の事実が、僕の少しの希望を崩していく。
「あっ!ハオヒョンー!!」
「やっときたのㅋㅋㅋ」
いつも通り、そのかわいい笑顔で迎えてくれるハンビナが今日は苦しかった。
「その子…」
やっとの思いで、僕の口から言葉が溢れた。
「ああ。紹介するね!」
あ、まずい。
今目の前で言われたら、とうとうダメになってしまう。
「あ、僕、用事思い出しちゃった」
「ごめんね」
とっさに、嘘をついてその場を離れた。
「えっハオヒョン!?」
ハンビナの驚く声が耳にのこった。
ひたすら走って、やっと教室に着く。
中に入ると
ジウンが驚いた声で
「ハオ、どうしたのその顔」
なんて言う。僕酷い顔をしてたみたい、笑
ジウンの顔をみたらほっとして、少し心が和らいだ。
そんなことを考えていると、一つのことが頭に浮かんだ。
ハンビナから距離をとろう。
「ジウン…僕、ハンビナから離れる」
「え!?」
ジウンの驚いた声が教室に響く。
「ハオはそれでいいの?」
「うん、ハンビナに今までくっつきすぎてたのかも、ㅋㅋ」
こんなことを口にする僕の顔がよっぽど酷かったのか、ジウンは心配そうに僕を見る。
「そんな顔しないでよㅋㅋ」
「そのかわり、ジウンたくさん遊んでよね!」
明るく振る舞う僕を見て
「うんㅋㅋㅋ」
と笑ってくれる。改めてジウンが親友でよかったと思う。
ハンビンから離れて過ごす、密かな僕の計画が始まっていく。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。