第200話

after story 5
12,279
2022/03/13 13:43





『翔太、みんなには言わないで』



シェアハウスまでの道の途中


翔太の背中に抱きつきながらそう言う



『また迷惑かけちゃうし』



まだ思い出すと怖さに涙が出そうになる


だけど、またそうやってみんなに助けてもらっていたら


いつまで経っても変わらない



渡辺「お前さぁ、まじで少しは頼れ」



意外な言葉に背負われながらも固まる



渡辺「夢野秋の時から何も変わんないじゃん、今はあなたなんだから少しは頼れ、」



「わかった?」なんて言う声が体越しに伝わってくる



渡辺「てか、阿部ちゃん達が気づかないわけないから」



そう言って笑う翔太の声に


自分が自分の思っている以上に大切にされていることに気づく


玄関に着くとそっと翔太の上からおりる


いつもは廊下まで聞こえる笑い声も今日は聞こえない



渡辺「ただいまー」



そう言ってリビングへ入っていく翔太の後ろを着いていく


入った瞬間に一瞬で目の前が真っ暗になる



「心配するから」



あの時と同じようにまた抱きしめてくれる



『ごめん、阿部ちゃん』

阿部「また居なくなったかと思ったじゃん」



体を離すとそっと頭を撫でてくる



向井「よかったぁぁぁ、俺翔太君が一人で帰ってきたらどうしようと思ってめっちゃ怖かってん」



康ちゃんがそんなことを言えば


リビングがいつも通り騒がしくなる



目黒「マジで怖かった」

向井「ほんまに、トラウマやから」



「よかったぁ」なんて安心したような顔で


私に抱きつくラウちゃんの頭を撫でる



深澤「で、どこ行ってたの?」

渡辺「お母さん」

深澤「え、?」

阿部「は?」



だから言わないでって言ったのに


賑やかになったリビングがまた静まりかえる


それと同時に抱きしめられる力も強くなる



阿部「お母さんに会ったの、?」



きっと今頃嘘をついても無駄なんだろう



『うん。会ったよ』



私の言葉にその場の空気がより一層静まり返ったのがわかった






























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