痛ましげに眉間にシワを寄せる神邉先生。
やはり到底、嘘をついているようには思えない。
――そんなの、『楽フロ』のシナリオにあったか?
いや……わからない。何しろ神邉純一ルートはクリアしていないのだ。
そもそもお助けキャラの桐院先生が、学園をやめていたことも覚えてなかったわけだし……。
妙に、気になる。
咲と親しくしていた人が死に、そして半年経って、今度は咲が亡くなった。
警察がそう判断したのなら、その可能性が高いんだろう。
でも、階段から落ちたのではなく、何者かに突き落とされたのだとしたら?
……いや、考えても無駄か。既に解決された、半年も前の事件だ。調べるのは勇士でも難しいだろう。
連続で人が死んでいる、とまでは言えないだろう。
偶然と言えば偶然だ。けれど……。
単に、私が気にしすぎなのだろうか。
それとも――。
意外に思って目を瞬かせると、神邉先生は苦笑してみせた。
何かを思い出したような顔になった神邉先生が、私を見た。
突然視線を向けられ、きょとんとしていると、
神邉先生はなんと、こう言った。
その言葉を受けて。
私と勇士は、どちらからともなく顔を見合わせた。
*
――そして、我が家での夕食を終え。
私は、食後のコーヒーを飲みながら参考書を読んでいる兄に近寄る。父は今日は会食で家にはおらず、母はすでに自分の部屋だ。
『初めての』兄とのまともな会話だ。
緊張でごくりと唾を飲み込んだタイミングで、私の気配に気がついたらしい。兄が顔を上げた。
それを聞き。兄が、ゆっくりと目を見張る。
そして――静かな声で、わかった、と言った。

















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!