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ヤバい、辰哉の熱がどんどん上がってる。すごく顔が赤いし……家に帰る前に色々買って帰らなきゃだな。うちの辰哉は生理になると必ず熱を出す。全体的にビミョーな時もあれば、徐々に熱が上がることもある。今月は徐々に上がるタイプらしくて、呼吸をするのも苦しそうだ。とりあえずメンバーに事情を話したら辰哉のために2人揃って帰れと言われたから、その言葉に甘えてレッスン室を出て今は帰りの車の中。
あーらら、これは相当熱上がってるなぁ…全体的に喋ってる時の文字がひらがななんだよね。こういう時はお願いを聞いてあげると辰哉は安心してくれるからね、そうしますか。そう思ってステアリングを握り直してアクセルを踏み込む。もちろん法定速度内ね。家の近くのコンビニまできたから、素早く必要なものを買って帰宅する。
あらま可愛いお顔。熱でふにゃふにゃだねぇ。これは早速冷えピタ案件だなぁ。とりあえず助手席に座る辰哉の腕を首に回して、お姫様抱っこをする。相変わらず軽いんだから…そんなことを思いながら、車のロックをかけて自宅へと足を向ける。
とりあえず、早くこの人を寝かさないとね。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。