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熱が上がってきてる辰哉をベッドにそっと寝かせる。息が荒いなぁ……心配だけど、俺が出来ることは限られてるから。毎月の1週間…辰哉が生理になる時期はホントに心配だ。多分辰哉は生理痛が重い方になるのかな……だから、しんどさも半端ないと思うんだ。
汗もかいてるし、水分補給は欠かせない。荷物を持たずに辰哉を寝室まで連れて来たから、コンビニで買ったもの達はそのまま玄関に置いてある。そこまで距離はないからすぐだけど……今の辰哉は俺が側から居なくなることが不安らしい。泣きそうな顔をするから、すぐ戻るよ、と言って頬を撫でた。思ったより熱があるせいか俺の手が気持ちいいと言う辰哉が可愛いけれど。とりあえず寝室から出て素早く袋を手に持ち、再び戻る。
薬を飲みたくないと駄々をこねる辰哉。そんなお姫様のお願いは俺からの口移しで薬を飲むこと。もぉさぁ、そういう所だよね。可愛いこと言うんだから…まぁ、やらないなんて選択肢は初めから持ち合わせていないからそのお願いを快く聞くことに。痛み止めを自分の口に入れて水を含む。そのまま寝ている辰哉の上体を起こして優しく口を塞ぐ。
飲めた?と聞くと口をかぱりと開けて確認をさせてくれる。確かに口内には何も残っていないからちゃんと飲めたのだと納得をする。さて、痛み止めも飲んだことだし……可愛くて愛しい奥さんのお願いを聞きましょうか。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。