前の話
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ー僕は、一言で言えばモブだ。
なんの取り柄もない、弱虫なやつだから。
こんなんだからきっと両親も僕に興味がないんだ。
だから両親は僕のことを捨てたんだ。
…僕なんか、生きてなくていいんだろうな。
そんなふうに考えて、今日も一日を過ごす。
僕の口癖は決まってそれだ。
人生なんてそんなもんだって思っている。
誰も悔いのない人生なんて、送ることはできないんだ。
なら、いっそのこと楽に生きたいと思う。
どうせ、生きていても意味のない存在なんだ。
こんな人生に意味なんて何もない。
なら…、モブらしくひっそりと…。
こういうことを考えていると大体来るやつがこいつ…、夢香だ。
夢香はなぜか僕にばっかりかまってくる。
僕がここに引っ越してきてから1週間。
ずっと話しかけてくるんだ、コイツだけは。
あんまり関わりたくない。なのに、近寄ってくる。
何なんだろう、この人。
友達なんていたところで、何も変わらない。
これは本当のことだと思う。
人なんてすぐに裏切るものではないか。
友達を作って、なんのいいことがあるんだよ…。
家族ですら、あっさりと俺を捨てたんだから。
毎日のように夢香さんは俺に友達になるように言ってくる。
正直、僕にとって人間付きあいなんてどうでもいいものだから、
こんな人と友達になる気なんてない。
僕はただ、平和に生きてたいだけだ。厄介事は面倒。
…でも、もう疲れた。
とうとう俺は折れてしまって…夢香、とかいうやつとなぜか友達になってしまった…。
コイツ、めちゃめちゃ元気だよな…。
確か、この学校でそこそこ人気者だった気が…。
そう言って力なく笑う夢香。
…なぜ、こんなに寂しそうな笑顔で笑うのだろう?
この人は僕と違って、これから先幸せな人生を送るんじゃないのか?
僕のように、人生を捨ててもないのに…。
この日から、僕の人生は変わり始めていた。








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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!