悟side
あれから、なんやかんやで俺たちはあなたには勝てないと悟った。
俺ら最強が勝てないんじゃ、誰がやっても駄目だ。
それなら、「仲間に引き入れたほうが安心」
そう傑と話し合い、俺たちは仕方がなくコイツの友達に自ら申し出た。
家族について聞いた途端、数分黙りこくった挙句にこの有様だ。
自分の思考以外は全てシャットアウトしている。
けれど何故か、傑と俺と手をつないで離さなかった。
だが、ずっと手を繋いでいるのは俺の腰が痛いため、俺の服の裾を掴ませている。
急にあなたが叫んだ。
そう言って走って行ったあなた。
ここら辺が、家だと言うが母親は滅多に家へ帰って来ないというから「居たらラッキー」
ぐらに思っていたのに、意外にもあっけなく見つけてしまった。
どうせ、ケバくて、香水臭くて、常識のない親だと思っていたが
案外、清楚…いや、可愛い感じの母親だった。
まぁ、クラスに一人は居る、勉強が出来て「言う事聞いてくれそう」と言う理由でモテている女って感じだ。
そう言って小さく、今この瞬間何よりも脆いあなたの肩を掴み話しかける母親。
だんだんと、母親が今まで取り繕っていたものが崩れて行くような姿であった。
悟sideEND
あなたside
母親は、茶色い瞳をかっぴらいて私にそう言う。
するといきなり私の腕を引いて歩き出した。
そう言って叫ぶ母親。
こういう時。いつもなら黙っているけれど
静かな夕立に照らされた人気のないこの道で、母親は叫んだ。
穢れ。それは私から離れることを知らない。
どんな石鹸でも、洗剤でも落ちることのない汚れ。
馬鹿な振りをしているのは楽であった。
全てを解らないフリをしていれば誰もが諦めてくれるから。
解らなければ幸せだったから。
母親は他人であった。
けれど、結局腐っても母親であった。
彼女に縋らなければ生きて行けない。
そして、実に醜く、滑稽で、穢らわしい存在。
それは私であった。
無造作に、欲望に塗れたその
自己中心的な手を差し伸べられる。
けれど、こういう時に限って優しさだと勘違いしてしまう私も結局、
ただの人間で、子供でしかないのだ。
狭苦しい世界の中で、親だけが全てなのだから。
no one can understand
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。