ルザクは目を見開いて言葉を飲み込んだ
おんりーは公園のベンチに座り携帯で
誰かとやり取りしていた
流石は探偵社の頭脳と言ったところだろうか
一体雨栗はどれ程先を読んでいるのだろうか
声をかけようとして、おんりーを探すとなった時
雨栗さんに言われたことを思い出した。
自分たちがやらかした、ことの大きさを忘れちゃダメだ
もし見つかったとしてそれだけでおんりーチャンが戻ってくるとは思わない方がいい。それに、話しかける時は覚悟したほうがいいよ
駄目だ、ここで迷ったら
ちゃんとおんりーの話を聞くって決めたんや
おんりーは此方を向かない。
ずっと一定の場所を見つめて動かない。
再度呼びかければ今度は目線だけチラリと此方に向けた
おんりーは悲しい顔もせず、反対に怒った顔でもなく
ただただ、本当に訳が分からないという顔をしていた
例えそれが事実だとしても、本人の口から直接言われると自分たちのせいだとしても、悲しくなる…
公園の入口に立っていたのは異国の顔立ちをした青年と
スーツを着た気ダルげそうな男だった
公園に生えている木の上から声がし、見上げると桃色髪をした青年が木の枝の上に座っていた。
完全に気配を消していた。
完璧に気配を消す当たり、マフィアでも立場は上だろう
下手をすれば幹部の可能性だってある
ラヴクラフトと呼ばれた男は手をタコのような触手に
変え、此方に向かって攻撃してきた
おんりーはチラリと木の上を見たあと、
探偵社の方に振り返った
おんりーがニヤリと笑った瞬間、ギルド団員の二人の
後ろから尖った形をした土が二人に向かって伸びてきた
どうしてマフィアが探偵社に手を貸すような真似を?
いや、考えていても仕方がない…
木の上に座っているなら僕の異能で拘束するまで
ジョンが考えていると急激に体が重くなった。
MENが地形を動かした瞬間におんりーは二人の背後に
回り体に触れた。
おんりーにとって、相手に触れさえすば勝ちなのだ
おんりーはMENの方に歩き始めた。
手にはいつの間にか黒いコートが握られている
おんりーはコートを肩にかけてMENの隣に立ち
不敵な笑みでギルド団員たちを見つめた。
そう言うと二人は公園を出ていった
ちょこっと解説Q&A
Q.どうしておんりーは探偵社の頃の服を着てたの?
A.ギルドメンバーを騙すためです。
今回の作戦としては、まだおんりーがマフィアに戻ったことを知らないギルドと探偵社を騙し、隙を着いてMENが攻撃をするという作戦でした。さらにその隙をつきおんりーが相手を動けなくするという作戦です。
ぼんさんの独り言を聞いたとある幹部の証言ですが
本来、公園に行くのはおんりーだけだったようですが
探偵社とたった一人で顔を合わせるのを不安に思った相棒君が無理を言って着いてきたそうです。
相棒くんはどうやら探偵社にはいい思いがないそうで
"探偵社"という単語を聞くだけで殺気がするそうです
これも相棒が戻ってきて気が少し緩んでるのかもしれませんね
Q.今回の件がなくてもマフィアに戻っていたと言っていたけどこれってどーゆー意味ですか?
A.そのままの意味です。(意味深)
月桂樹(ゲッケイジュ)
花言葉
・勝利
・裏切り
・私は死ぬまで変わりません など
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。