助けてください。
今図体の大きな男二人に囲まれています。
派手な登場をかましたはいいものの、いざ話そうとすると口は動かないし多分いつも通り顔にも出てない!
いやはや人と話すのは苦手だしなんならずっと一人でいたほうが楽だとは思うけどこの仕打ちは酷くないか!?
めちゃくちゃ生きてるよ!!
てめーらが怖いんだよもっと歩み寄ってくれ!
しかも右のやつは
声でけぇよ!
鼓膜破れるわ!
だから声でけぇよ!
なんだよなんかヘビ巻いてる人きたんですけど!
そうだよ13だよなんか文句あっかよ!
なんだよこいつネチネチしやがってこっちにはこっちの事情があんだよ!
私は3人の男たちに囲まれて質問を受け続けていた。
正直もうしんどい。帰りたい。誰か助けて…とそんなことを思っていると、
白髪…腕に傷跡…
もしかして…いや間違いない。この人はきっとあの時の人だ。
お礼を言わなきゃ、そう思ったが、うまく口が回らない。
ああ、やはりだめだ。
私は過去のことがあって以来、うまく話すことができない。
そのせいでたくさんの人に迷惑をかけてしまった。
柱になれば変われる、そんな淡い期待を抱いていたが、人間なんてそんなものだ。
そう簡単に過去のトラウマを乗り越えることも、今の自分を変えることもできやしない。
やはり、こんな私は柱にならない方がよかったのだろうか。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!