第127話

先輩
26,916
2019/04/13 11:11
先輩
……っ!!
先輩が勢いよく、ラケットを振る。

パンっとボールが弾かれる。

ボールは風を切って、私へ向かってくる。

私のコートで強くバウンドし、跳ね上がる。

完璧なサーブだ。

私はボールの横に回り込み、思いっきりラケットを振る。

みく
んっ……!
ラケットの中央に当たったボールは、網の上をスレスレに通り、先輩の方へ向かう。

危なかったけど、何とか返せた。

なんて考える暇もなく。
パンっ
ボールが打ち返される。

先輩のボールは網の上を通り、コートの端に向いて真っ直ぐ進む。
みく
あっ……!!
先輩のボールはベースライン(コートの1番外側の線)ギリギリで、跳ね返った。

私はもちろん、打ち返せなくて……。
海人
鎌倉先輩、一点です
先輩
っしゃあ!!
私は打てなかったボールを取りに行く。
  
こんなのわかってた。

最初からこうなることわかってて勝負してたんだし……。

先輩は強い。

入部する前から、ずっと知ってた。

ずっと見てたんだから。

わかってる……。

けど……





悔しい。
海人
次、みくサーブ
みく
うんっ!!
私はボールを握る。

そして、薄くオレンジがかってきた空へ勢いよく投げる。

私の思いをのせて……。

上から下へ、ラケットを振りかざした。



パコンっ


ボールは先輩のコートでバウンドする。  

打ち返される。

さっきと同じところにボールがとんだ。

私は走って、それを打つ。

ラリーが何回か続いた。
みく
……やばっ!
先輩からきた、力強いボール。

私はラケットを思いっきり振ったけど……。

中央には当たらず、端のあたりに軽く当たる。

ボールは弱々しく先輩のコートへ向かう。

ミスった……と思ったけれど。

ボールは網の上をスレスレにとんで、すぐにバウンドした。
先輩
ふっ……!
先輩は急いで走ってきたけど、間に合わず……。



ポンっ……
  


ボールが2回バウンドして、転がった。
みく
あっ……
は……入った
海人
みく……一点
海人が目を見開いて、小さく言った。

ま……まさか。

でも、本当に。

あの、実力者の先輩の先輩からきたボールを打ち返して。

一点とれたんだ……。
みく
や……やった!!
私は思わず、飛び跳ねる。
みく
入った〜〜!!
やったよ♪

一点も入らないかと思ってたけれど、一点とれた!

これで1対1

同点だ。
先輩
くそっ!



一瞬で空気が凍りついた。

私の笑顔がすっと消える。



だって……



先輩がラケットをコートに打ち付けて。


冷たい目で私を睨みつけていたから。


黒い突き刺さるような視線。









これが、先輩の本当の姿だった。



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さくらんぼ🍒です♪

いつも読んでくださって、ありがとうございます!

見てくださった回数が1,000,000回を超えました〜!!✨✨

本当に嬉しかったです。

ありがとうこざいました。

これからも頑張りますので、よろしくお願いします。

最近🔞少なくてすみませんっっ

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