エーミールです。
ただいま車椅子に乗って適当に家中をぶらついています
書類も終わってしまったし、さっきご飯も食べたし…
オスマンさんとはほんとに久しい。
部屋にこもっていたときも廊下で会うぐらいしか面識がなかったのです。
この方はちょっと……ちょっとだけおかしいんですよね…。
やばいやばい!なんとか機嫌を損ねない返答をしないと……!
良かった怒ってない……
そう考えてたときにはもうすでに遅し。
首元に注射器がぷすりと刺さっていた。
がくっと意識が手放された。
目の前にはニコニコしているオスマンさんが。
この部屋は……医務室…?
私はベッドで寝ていたようです。
圧がすごすぎてハイとしか言えなかった。
このまま二人きりでいるのは怖いので
寝ている体を起こそうとすると
そう言って私の腰辺りに座るオスマンさん
どういうことだろう。
「ほんと」…?
な、なんやこの人……
ちょっとムカつきました…
ドスッ
音が聞こえたと思ったらお腹に痛みが走る。
私のお腹に包丁が突き刺さっていた。
オスマンさんはベッド下りてドアへと向かう。
オスマンさんが部屋を出るとき微かに聞こえた。
「ごめん」
服が血で滲んできた。
包丁を抜こうにも力が入らなくて。
目を閉じ夢の世界へと行く。
多分帰ってこれるでしょ!多分!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。