私は放送室の扉を開く。
今は、昼休みだから、必ず誰かがいるはず。
中に入れば、放送委員の生徒がいたので。
その生徒から、マイクを勝手に奪う。
そして、放送委員の生徒からマイクを奪い、言葉を発する。
少し申し訳ないけれど、まぁ許して欲しい。
あとでなんかお菓子あげよう。ごめんね。
私がそう言い切ると、放送室付近の外から、放送を聞いたであろう生徒の、困惑と期待の声が聞こえた。
ああ、こわい。
ほんの少しの、不安が、私の中でまた渦巻くけれど。
この不安よりも、私の音を披露する、楽しみさが勝った。
私は、放送室をあとにした。
放送室からの帰り道、廊下を歩いていると。
ダリ先生に声をかけられた。
これは、怒られるかも。
やっぱり。
廊下で、お説教を食らってしまう。
いや、私が悪いけれども。
こればっかりは、許してほしいと言うしか。
けれど、怒られていると、なんだか申し訳ないし、どうしようかなぁ、なんて考えていると。
そんな、爆弾発言を、ダリ先生が言った。
そうだ、この悪魔、こういうところがあるんだった。
ああ、そうか。
あのときの、"君の音"。なんだか、今なら、私の音を出せるような気がしてならない。
私にとって、いちばん重い重圧の言葉を、
軽々と私にあびせて来るけれど。
絶対、この悪魔の期待にも、応えてやろうと思った。
あーーー羞恥心
厨二病炸裂やだああ
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。