一瞬、プルソン君の発言に悲しんだあと。
私に襲ってくるのは、怒りの感情だった。
だいたい、「そんな音」って、どんな音なの?
私の音は、私の音でしょ。
それなのに、どうして。
腹立つ。悔しい。
なのに、どうして、こんなに悲しくて、空っぽになったような感覚に陥るの?
才能が、ないから、?
才能なんてないから、こんなことになるの?
頭では分かっている。
そんなの関係ないと。
分かっているけれど。どうしようもなく、そう思ってしまう。
ここまで来たら、さっさと捨てたいのに。
こんな執着心、いらない。
フルートのこと、好きになることさえ出来ないのに。
ぼーっと、1人校舎裏、空を眺めていた。
なんにも、考えたくなかった。
けれど、そんな気持ちを踏み荒らされるように、ダリ先生の軽快な声が響いた。
あんまり、私はこの人と喋ったことないのだけれど。
まるで慣れ親しんだ友人かのように喋りかけてくる。
こういうところが、人気の秘訣なのだろうけれど。
ていうか、本当に、この悪魔なんでも知ってるよな。
どこ情報なんだろう。
言ってもいい。言った方が楽になる。
けれど、プルソン君は、勝手に話されて嫌じゃないのかな、なんて考えてしまう。
私がそんなことを考えていると、それすら見透かしたような発言をされる。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。