俺は怪訝そうに金子陵に質した。
ここに来た以上、先ほどのエレベーターはもう使えないようイクバルが手を施したらしい。
ここから下に行き、脱出するしかない、ただそこにはイクバルや他の影が待ち構えているだろう。
奥の部屋の間取りを改めて見回した。
いくつかの死体を英太郎は眺めている。
英太郎が不意に言った。
この部屋にあるもう一つの、恐らくイクバルの乗り込んだエレベーターを見て答えた。
金子陵曰くここにある死体はこの後積み込み作業に入る予定であったらしい。
俺は身震いするのを感じた。
エレベーターに乗ると行き先階ボタンは無い。
3人で乗ると、ドアは自動で閉まった。
暗闇の中を高速で降りていくエレベーター内で彼らは何を思ったのだろうか。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!