「 あれー 違いましたか ? 」と首を傾げてそう呟く
ヘリンちゃんに何故か怒りがどんどん込み上がってくる
だけどヤンくんの前でどう反論していいか分からなくて
持っていた本をぎゅっと握って俯くことしか出来ない
私の反論に被せるように言葉を呟くヘリンちゃん
'' 絶対わざとだ … '' と呆れてればヤンくんに向けていた
視線をこちら向けて フッ と嘲笑われた
ふたりの会話を聞いていれば
まるで図書室に私が存在しない感覚に陥ってくる
カウンターの机に肘をつき上目遣いで話すヘリンちゃん
あんなのされたらヤンくんも恋に落ちちゃうよ … と
嫌でもそう思ってしまう
もう本も借りずに帰ろう と決心し 回れ右をして
元あった本棚へと1歩ずつ歩き始めた
'' 私もヤンくんとああやって話したかったな … ''
せっかくのビジュアルチェックが台無しだ
元あった本棚に着き本を返そうとした 時だった
さっきまでヘリンちゃんとの会話が聞こえていたのに
いつの間にかその会話は聞こえなくなっていて
気が付けば私の右側にはヤンくんの姿があった
いつも通りの冷たい口調に思わず笑みが零れる
けどその口調よりも私の元に来てくれた
その事実が嬉しくて笑みが零れたのかもしれない
この出来事で舞い上がる私はちょろいのかもしれない
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!