今日も授業が終わってすぐ美術室に駆け込む。
いつもはすち先生とお喋りするけど、今日は勉強だ。
美術室にはなつ先輩の姿が。
スケッチブックを持って去っていくなつ先輩。
テスト期間中なのに絵を描くつもりなのだろうか。
なつ先輩が赤点をとったなんて話は聞かないから、きっと成績はいいのだろう。
絵を描いていても赤点を取らないなんて、頭の構造が私とは違うに違いない。
少しだけ羨ましさを覚えて、なんとなくなつ先輩の後ろ姿を見つめていた。
◯3時間後
◯家
家に帰って、テスト範囲をもう一度復習してみる。
1年前に買ってから全く使っていなかった綺麗なままの赤シートで、重要語句を覚えていく。
昨日と今日の2日間で、かなり知識が増えた気がする。
テストは土日が明けた月曜日。
全教科赤点回避する。私ならきっとできる。
昨日より確かになった自信を胸に、教科書を閉じた。
◯テスト当日
いつものように教室はうるさい。テスト当日だからかいつにも増して。
みんなが友達と問題を出し合ったりしている中で1人黙々と参考書を読んでいる私は、もしかしたら浮いて見えるのかもしれない。
チャイムが鳴って、みんながそれぞれの席へと戻る。
試験監督の先生が入って来て、問題が配られた。
試験開始の時刻が刻々と近づいてくる。
頭の中で今までやったことを思い出しながら、止まることなく進んでいる時計の秒針を見つめた。
チャイムの音。
同時に紙をめくる音とシャーペンの音が教室に響く。
いつも以上の集中。
問題がすっと頭に入ってくる。大丈夫、先生との特訓の成果が出ている。
確かな手応えを感じながら、私は無我夢中でペンを走らせた。














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!