いつもなら、とっくに練習室にいるはずのあなたの姿が見えない。昨日も一昨日も、彼女はいつも通りの時間にきちんと出社していたはず…連絡もなく休むなんて、あの子らしくない。
小さな違和感が胸の奥に引っかかりながらストレッチを始めた。
ちょうどその時、隣に座ってきたチャニヒョンが、携帯を耳に当てながらぽつりと呟くのが聞こえる。
「…うん…うん…こっちは大丈夫だからゆっくり休みな。うん、お大事に」
電話を切ったチャニヒョンが、自分の視線に気づいて振り返った。
「うわびっくりした…何?」
「ヒョン、今の電話って…」
「ああ、あなただよ。彼女、今日風邪で休みだってさ。その連絡」
「風邪…?」
思わず、その言葉を繰り返す。
突然の病欠という情報に、彼女を心配する気持ちと、同時に少しばかりの期待が頭をよぎる。
それは、いつも笑顔で明るい彼女の弱っている姿を見てみたいという好奇心からくるものであった。
その日は一日、頭の中が彼女のことでいっぱいだった。ダンスの動きに集中しようとするものの、彼女が今、どんな様子でいるのか、食欲はあるのか、熱はどれくらいあるのか……そんなことばかりがぐるぐると脳裏を巡った。仕事が終わったら様子を見に行ってみよう…
そんなことを考えながら練習に励んでいた。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。